Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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記事一覧

惑い箸

空調の音だけが
静かに響く部屋で

今日もいつものように
一人、夕食を机に並べて

困惑する

昼食が
遅くなったせいか

食欲とかいうものが
まったくない

目の前に並んだ
動物の肉の塊を見て

「これは何だろう」 と
少し、箸の先で突っついては

手を引っ込める

食糧難の子供たちに
募金をするため

毎日クリックをしながら

調子の悪い時の
僕の食事をありったけ詰めて

送ってあげられたら
いいのに、と思う

医食同源なんて
誰が言い出したんだ

食べれば食べるほど
胸が苦しいじゃないか

水なら
いくらでも飲めるのに。

時の迷い子

月が変わって

今年もあと
残すところ二ヶ月になった

年が明ければ
母が死んで二年になる

僕は
相も変わらず、僕は

進む方向も分からず
時間とお金ばかりを消費して

父のお陰で
生活に困ることもなく

憂鬱な毎日を
遠くから眺めるようにして

社会の外側から
社会人になりすまし

「当たり前」 に生きる人々と
つながりを持っている

この時間を
清算する時は

いつか必ずやってくる

その時、僕は
どんな顔をすればいいだろう

どんな風に
これまで過ごした時間に

「理由」 を付ければ
いいのだろう

あれこれと
考え続ける日々に

不安になりながらも
安定剤をひたすら飲み下す

なんだか

「良い一年だったな」 と
自信を持って言えなくて

そんな自分が
もどかしくて、歯がゆくて

情けない。

いつかの背中

昔の自分の背中を
幻に見ながら

人生は粛々と進み

非情にも
僕の命と時間を

削ぎ落としていく

天井を見つめる
僕の頭の中に

たくさんの
過去に対する 「もし」 が

浮かんでは
打ち消されていく

僕はどこかで
道を踏み誤ったのだろう

けれど

それが
どこだったのかは

僕自身には分からない

幸、不幸なんて
安っぽい概念ではなく

「死に向かう者」 として

生きている今
どのように生きるのか

それが問われているような
気がする

季節は巡り
大好きな冬が来る

今年もあとわずか。

生温い息

音楽を聴きながら
椅子にもたれて

アルコールが抜けた後の

何とも例えようのない
苦い気持ちを噛み締めた

眠るべきなのだろうが
とくに眠いわけでもなく

ほんの数メートル先の
ベッドに移動することすら

面倒で仕方ないので

このまま椅子の上で
自然に眠ってしまいたいと

都合のいいことを
ぼんやりと考える

大きな苦しみを
乗り越えるたびに

これで終わればいいと
願うけれど

その次も、また次も
苦労は降りかかる

みんなも
こんな苦労の中で

生きているとしたら

こんな時には
どんな独り言を

呟いているんだろう

乾燥して流れた涙と
溜め息が飽和した部屋

もうそろそろ
今日を、リセット

そんな時間。

厭世の果て

酷い倦怠感の中にも

食事の時間は
いつも通りに訪れる

昨日、買ったまま
食べ残したハンバーガー

これは
まだ食べられるだろうか

そんなことを思いつつ
発泡酒に口を付ける

酒もクスリも

この世界に取り巻く
ありとあらゆる煩わしさや

空虚や、孤独や、哀しみを
消し去ってはくれない

隠れては現れ
現れては隠すゲームは

重苦しい厭世観の中
果てしなく続く

人生とは
緩やかに死に向かうこと

その意味を
少しずつ分かり始めている

自分がいま
誰よりも、何よりも

怖い。

ポーカー

今日は最高にアンラッキーだって?
イカサマポーカーじゃないんだから、次は違うカードが出るさ。

密室グランプリ

二度寝から
目を覚ました遅い朝

カーテンをそっと
指の背で持ち上げると

外は雨だった

天気予報通りとはいえ
本当に降っていると

どこにも
出かけられないので

何をしようかと悩む

どこでも遊べるように、と
PS2を売却して買った DSiは

マリオカートで大活躍

スピード感のある
アクションゲームも何本か

お気に入りができた

ただ、ウツっぽいせいで
集中力が続かず

とても楽しいのに
すぐに疲れて飽きてしまう

人も、モノも、世界も

興味のあるものしか
目に入らないドライな日々

僕は何を失って

これから
何を手に入れたいんだろう。

恋情の焔

恋心というものは、絶えず相手に何かを求め、期待し、願い、
奪おうとするが、愛情は相手の幸せのみを願い、与え続ける。

その理解があるか無いかで、相対している二人の未来は
決まると言っても過言ではない。

恋を愛にまで昇華しない限り、その火はやがて全てを焼き尽くす。

命、輝いて

友達の飼っている
犬の調子が思わしくない

現在は
かかりつけの動物病院と

東大病院で
治療を受けているが

膵臓、肝臓、腎臓、CRP
あらゆる検査値を聞いた限り

予断を許さないほどに
とんでもない数字

無いコネで必死に
症例や治療法に関する

文献や論文を漁っても

何も手助けが出来ない自分が
もどかしくて、涙が出る

急性膵炎を起こしていて
PLIは測定不可能な値

腎臓のほうも
BUNが 100を超えている

しかも今日は CRPが
16まで上がったとのこと

複数の臓器が
限界ギリギリのようなので

どこか一点が崩れたら
ガタガタといってしまわないかと

とんでもなく不安になる

東大病院のほうの
主治医の先生も

経過はもう
その子次第としか言えないから

覚悟はしておくように、との
コメントを出したらしい

飼い主である友達はもちろん
病気のワンコも苦しいだろう

犬は飼い主を思い
飼い主は愛犬を思い

こんなにも引き合っている
大切な家族が

どうして悲惨な現実に
翻弄されていくのだろうと

理不尽に思えて仕方ない

生き物だから病気もする
いつか寿命だって訪れる

けれど今は、少しでも

二人の上に
幸せな時間が降るように、と

一心に祈る
祈ることしかできない。

honesty

失敗せずに生きてきたかどうかは、重要ではない。
人に愛されて生きてきたかどうかも、大して重要ではない。

自分にとって真に重要なのは、
失敗しようとも、非難を浴びようとも、

常に 「正直に」 生きてきたかどうか
ということだ。