Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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ストロー

小雨の降る中
ヘッドホンを耳に押し込み

バラードを聴きながら
食事も兼ねて

バーガーショップへ
コーヒーを飲みに出かけた

僕は、店の窓から
道行く人々を眺め

そのたびに溜息を吐き

傘が無い
というわけでもないのに

帰路につくことを
酷く、億劫に思ったまま

アイスコーヒーの
ストローに縋る思いで

かじりついていた

傘を差しながら
ふざけて笑い合う

窓の外の女子生徒

店内で雑談に興じ
時折、大声を出す主婦

日々の糧を得るべく
サービスに励む店員たち

その何もかもが

自分とは遠い
どこか違う世界にいるような

錯覚を覚えて

確かなものは
口に流れ込んでくる

コーヒーの味と
その温度だけのように

感じられた

風邪はまだ治らず
鈍い頭痛は続く

今日もしっかりと
眠れたらいい

それだけで、いい。

贖罪コントラスト

風邪を引いて
浅い眠りから醒め

痛む頭に腕を乗せて
涙目で見上げた天井は

いつも優しかった

白でもなく、黒でもなく
それらが微妙に混ざり合う

コントラストの中には

このセカイの求める
駆け引きのようなものが

少しも感じられなくて

むしろ、僕を
日々の苦しい道化役から

開放してくれる
一縷の救いのようにさえ

感じられた

時が過ぎるのも忘れて
ただ天井を眺める僕には

辛いことも、怖いことも
何も無い

ただ、低く頭に走る
哀しく鈍い痛みを除いて

いま、何時だろう

もう一度眠ろうか
額に乗せた腕で

涙を
ゆっくり拭ったら。

思いやり

自分と同じように相手も苦しんでいたんだ、
頑張っていたんだ、と気付くことの他に

思いやりの原点は無いような気がする

だから、悲しみ苦しむことを 「恥」 と考える人からは
優しさが感じられない。

経験

嫌われて嫌われて、優しくなる
疎まれて疎まれて、強くなる。

明るい夜

ここ数日
徹夜が続いていて

まともに
眠れていないせいか

五感が麻痺して
音もニオイも歪んでいる

昨夜も

ベッドに移動して
横になってはいたものの

眠剤が
いつまでたっても効かず

エアコンのタイマーが
切れたのを引き金に

アトピーだか薬疹だか
よく分からないけれど

発疹で荒れまくっている
両腕の内側や

胸元などの皮膚を
無我夢中で掻きむしり

手を血まみれに
してしまった

眠らないということは

傷つけられた一日分の
尊厳だの虚栄だのを

リセットする機会を
失うということでもある

今日は
カラ元気はナシだ。

疎外の先に

まるで

自分で創った傷口に
自分で塩を擦り込むような

誰のせいとも言えない
鈍い頭痛に苦笑いして

また
一日が暮れてゆく

食事はデザート
恋愛なら追想

すれ違いゆく人は
残り香が一番美しい

などと自嘲しては

今日もまた
去る者追わずよろしく

孤独感を深める

今までは

何かと比較的
持て囃されながら

生きてきて

そのぬるま湯を
セカイだと思っていたけれど

実際には

この口から
吐く言葉たったひとつで

人と永遠に絶交してゆく

そんな
生きづらい空間こそが

本当のセカイ
なのかもしれない

疎まれて、なお
笑える心が欲しい。

生きる資格

また今日も
生きてしまった

そんなことを思い

落胆とも
後悔とも言えない何かで

心が満たされ

その直後

漠然とした哀しみが
心を焼いた

人との付き合い方を
知らない僕は

良好な関係を

築けると感じた端から
その関係を壊して

日々、孤立を深める

この世界には
特に、今のこの国には

僕よりも器用に
上手に生きることのできる人が

溢れかえっている

そんな中
何に不自由することなく

また
一日生き延びたことに

何の意味があるだろう

意味ぐらいは
あるのかもしれない

けれど
生きる意志のない者に

生きる資格は
無いような気がする

明日も雨か。

見慣れた天井

椅子にもたれて

秒針と天井を
交互に見つめては

目を閉じる

この癖は
いつからだろう

今夜は
大雨になると聞いた

風情のある
静かな雨もいいけれど

たまには

情熱をまき散らすような
大雨も悪くない

目を開けたとき

そこに
何も変わらない天井が

当たり前のように
そこにあることに

底知れぬ安心を
感じている

「ああ、生きてる」
ただ、そう思う

それが嬉しくて
こんな癖を

覚えたのかな。

reason to write

今日の日中は
コーヒーばかり飲んでいた

あまりの退屈さに

以前、企画として
しばらく続けていた

ボイスブログを

またやってみようか、と
考えたけれど

よくよく考えたら

あの企画は
リスナーが少なすぎて

企画倒れになったのだ
と思い出した

同時に

一日に
何回のアクセスがあって

どの記事に
人気があるようで

そんな小さなことを
いちいち数えては

戦戦兢兢として
書く内容に悩んでいる

自分の姿が
ひどく情けなく思えたことも

思い出した

僕はただ、ここに
生きた証だけを

残していけばいい

創作をするにしても
友達にメールを打つにしても

きっと同じこと

たぶん、僕は

自分がまだ生きている
ということを

確認するために
書き続けているのだから。

純愛

愛するということは

どうすれば
相手が幸せになれるかを

考えることであって

どうすれば

自分が
より多く愛してもらえるかを

考えることではない。