小雨の降る中
ヘッドホンを耳に押し込み
バラードを聴きながら
食事も兼ねて
バーガーショップへ
コーヒーを飲みに出かけた
僕は、店の窓から
道行く人々を眺め
そのたびに溜息を吐き
傘が無い
というわけでもないのに
帰路につくことを
酷く、億劫に思ったまま
アイスコーヒーの
ストローに縋る思いで
かじりついていた
傘を差しながら
ふざけて笑い合う
窓の外の女子生徒
店内で雑談に興じ
時折、大声を出す主婦
日々の糧を得るべく
サービスに励む店員たち
その何もかもが
自分とは遠い
どこか違う世界にいるような
錯覚を覚えて
確かなものは
口に流れ込んでくる
コーヒーの味と
その温度だけのように
感じられた
風邪はまだ治らず
鈍い頭痛は続く
今日もしっかりと
眠れたらいい
それだけで、いい。