Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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限界との闘い

限界というものは
最初からあるものではなく

自分で
作り出してしまうものだと思う

けれど

仮に何らかの学問
たとえば医学を学ぶとすれば

時間が数年ほど
止まっていてくれない限り

調べられる内容や
理解できる範囲には

限界が発生してしまう

人間がそれぞれの時間を
自由に止めたり進めたり

あるいは
戻したりできるのであれば

限界という概念そのものが
存在しないことになる

結局、僕たちは

「時間」 というものと
「生あるものは必ず死ぬ」 という

二つの変えようのない
大きな限界に

縛られているのではないか

僕はその中にあっても
先々で後悔することのないよう

今できる最大限のことに
最大限の熱意と真摯さを持って

対峙していたい

そんな大げさなことを
毎日のように考える自分を

少しだけ弱気な自分が
「無理するなよ」 と

嘲笑うこともある

けれど、僕は止まらない

生まれたその瞬間から
この足で歩いてきたのだから

これからも
ひたすら前に進むと

心に決めてきたのだから。

バランス崩壊

夕方に空けた
缶チューハイを皮切りに

深夜になって
友人たちが 「おやすみ」 を言う中

延々と未だに
一人で缶を指にぶら下げて

飲み続ける

この世界には
嬉しいことも、悲しいことも

同じくらい溢れているけれど

同時に存在する
得体の知れない理不尽さが

どちらか一方の極で

やっと安定して
慣れかけたという頃に

抗いようのない勢いで
そのバランスを壊していく

その哀しさに耐えられないから
良くないことと知りつつも

ひたすら
酒と安定剤を流し込む

先が見えていることには
容易に耐えられる

けれど

いつ崩れるかわからない
土台の上を歩き続けるには

あと数センチだけ
僕には勇気が足りない

ろくに酔えもしないままに
うっすらと、そんな気がした。

人の造りしもの

最近
SNSを離れがちで

ひたすら
Twitterにかじりついている

閉ざされた空間で
信用できる友人とだけ

やりとりするのもいいけれど

誰が読むか分からない
オープンな場所で

日常的な雑談などを
気軽にできるようになったのは

時代の変化もあるだろうし

僕のような古いユーザと
比較的、最近 PCを始めた人との

ネットや、通信に対する
意識の違いもあるのだろう

人が作りだしたものを
人のために有効活用できる

それは
とても素晴らしいことなんだ、と

改めて実感した。

許しの中へ

辛いときほど
酔いはよく回る

昨夜は

夕食と一緒に
500mlの缶チューハイを

一本しか飲んでいないのに

気がついたら
椅子の上で眠っていた

どうして僕たちは

傷付け合いながらしか
生きられないのだろう

どうして

すべてを許し
許された中で生きることが

こんなにも難しく
実現困難なことなのだろう

僕が大切に思っている
すべてのひとたちと

いつか本当に
愛し、愛されながら

時を刻んで
生きられるようになりたい

たとえ僕の命が
少しだけ縮んだとしても

構わないから。

同種同族

日々垂れ流される
暗いニュースに

まるで
呼応するかのように

僕の生活に流れ込む
人間関係のトラブル

人と人は同じ種であるのに

どうして、人間のことが
一番の悩みになるのかと

また、いつものように
疑問に思う

鼻先から部屋へと抜ける
アルコールの匂いと

どうでもいい
ただの文字の羅列を見ながら

今度もし
生まれてくるとしたら

人間以外のものがいいと
心底、思った。

冷たい壁

人から拒絶されることは

例えそれが
明示的な嫌悪感でなくとも

自信喪失に
大きな拍車をかける

いつもは
大の字になって眠るベッドも

今日は
タオルケットに巻き付いて

壁に埋もれるように
擦り寄って朝を待つ

このまま

誰も僕のことを
特別な存在として

つまり

恋人や伴侶として
必要とする人が居なければ

僕は寿命を待たず
自ら死地へ赴くだろう

生命として生まれた以上

この惑星に
未来へと続く人類の歴史に

生きた証を残せない者は
潔く去るべきなんだ。

embodiment

恋愛や人生といった

初期の段階では
比較的抽象的で

先の見えない問題を
扱うとき

それをより
具象化しようとする欲求は

理性による
論理的な一貫性による

安心感に反して
害となることが多い

「思い入れ」 の強さが
時に人を傷付け

関係さえも
台無しにしてしまうように

僕の不器用さは
あらゆるものを破壊して

自らを極限に追い込む

本当は叫びたい

僕はただ
真っ直ぐに生きたいだけだと

叫びたい
ただ、愛されたいだけだと。

1秒を奪うもの

アナログの掛け時計は
やっぱり苦手だ、と

壁に掛けた黒い時計の
シルバーの秒針を眺めて

思った

元々は
数年前、交際していた

恋人のために
用意したものだったが

「想い出の品」 じゃあるまいし
捨てるのも勿体無いので

そのまま掛けてある

秒針が僕から
1秒を確実に奪っていく

それを確認させるように
機械音がカチカチと響く

この緊張感と重みに
耐えるのは苦しい

それでも実質
部屋で一番大きな時計なので

これからも
君臨することになるのだろう

僕の 1秒を
永遠に吸い取りながら。

幸せという錯覚

メールの返信すら
来なくなった携帯電話を

ベッドに投げ捨てた

鳴らない電話に
用は無い

解放された空間と
完全に自由な時間が

僕の胸を焼いていく

人は
人とのつながり無くしては

生きられない動物か

そんなことはないだろう
無人島で暮らす人もいる

では、この孤立感や
疎外感や焦りは

どこから来るのだろう

「人と同じがいい」 という
考え方は昔から嫌いだった

表面を繕って
仲良くやりとりをして

その現実を
幸せと錯覚して

ぬか喜びするくらいなら

一人のまま
壁や天井や水と

向き合っているほうが
ずっといい

机の端に
忘れ去られたボールペンも

きっと同じことを
思っているんだろうな。

漂流

時間が
現実と心を隔てるとき

胸に引っかかった思いは
行き場を失い

自分と
自分の目に映る世界の

中間を彷徨い漂う

身体の奥深くに
染みこんでいくような

冷たい水を
飲み下しながら

暗い部屋で一人
明日の行方を占う

この数年間をかけて
僕の周りから

少しずつ
消えていった笑顔は

今、誰のために
微笑むのだろう

光らない
携帯を見ながら思う

僕のことを
必要としている人は

世界にあと
何人いるのだろう。