Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


[ すべて表示する ]   [ 作品集サイトへ ]   [ フィード購読 (RSS) ]     
login

記事一覧

前髪の注文客

胸下で
ワンレンに揃えた

髪の扱いに

この夏になって
少し難渋していたので

今日

病院の帰りがけに
美容室へ寄って

10cm以上も
バッサリと切ってもらい

左右の前髪を
作ってもらった

試しに括ってみると

確かに
前髪があるほうが

気分的にも、見た目にも
すっきりとしている

伸ばすのも
貴重な体験だけれど

こんな長さを切ったのも

恐らく
生まれて初めてだろう

自分の頭に
昔から生えているものだけで

こんなにいくつもの
初体験を

経験できるとは
夢にも思っていなかった僕は

思春期の生徒のように
髪と手鏡を付き合わせ

あれこれ思案しては
ひとり納得していた

人の髪型を創る

美容師さんというのは
本当に器用な人たちだと

心から思った。

冒険者

コンビニからの帰り道

車道を 60km/hで走る
バイクのミラーに

小さなバッタが
必死でしがみついていた

とてつもない速度で走る
大きな大きな乗り物に乗り

相当な距離を
移動したということは

彼の一生のうちで

指折り数えるほどの
大冒険になるだろう、と

僕は内心思いながら

信号待ちの隙に
彼を歩道へ向けて放した

僕は
飛行機が怖いけれど

もしも乗ったなら

彼と同じくらいの
大冒険をした気分が

味わえるだろうか

人間は知恵があるから
高等だなどと自称するけれど

彼のほうが
何倍も勇敢で立派だと

ドアの鍵を回しながら
思った。

ハイド氏、再び

深夜、眠剤を飲んで
勢い余って友人にメールし

その文章の稚拙さに
朝起きてから閉口する

台風が来たので

さすがに深夜は
出歩かなかったかな、と

無機質な目で
部屋の中を見回すと

スナック菓子の
空き袋を発見

副作用は

転んでも
タダでは起きないらしい

まさか

ハイド氏と再び
付き合う羽目になるとは

先が思いやられる中

選挙カーの声だけが
やけに人間臭く聞こえる

しばらくゴロゴロしたら
バナナを食べよう。

未明の鈍痛

午前三時
ぼんやりと目を覚まし

枕元に転がっていた
ペットボトルの水を飲んだ

やがて
目が覚めていながら

神妙に
寝た振りをする自分に

心から飽き飽きして
いつもの天井を眺めた

酷く、頭が痛い

ロキソニンを飲んでいて
痛むのだから

これ以上は
どうしようもないのだろう

問題は食事の調達

この体調で
猛暑の中をうろつくのは

あまり賢明ではない

けれども、一方で
お腹は減るばかり

まさに
ヤマアラシの何とかだ

頭痛を犠牲にするか
空腹を犠牲にするか

そんなことを
ダラダラと考えるけれど

世の中、もっと過酷なモノと

闘っているひとは
たくさんいるはず

何、食べようかな。

頭痛と夢

今日も朝から

割れるような頭痛と
耳をつんざく轟音が響き

生々しい夢の中から

現実が
五感いっぱいに広がって

目が覚めた

マンションの
改修工事か何かで

ドリルを使って
作業をしているらしい

それよりも不気味なのは

ここのところ毎日
夢の内容を

鮮明に思い出せること

そして、その夢に
家族や思い出のある異性など

親しい、親しかった人たちが
次々と現れていること

覚えていること自体は

眠剤でREM睡眠を
抑制しているので

起きる瞬間と
浅い眠りが重なっても

不思議ではないけれど

内容がなんとも
複雑な気分になるものばかり

毎日、何かを
考えさせられて起きるのも

けっこうハードだな

まだ
過去を見て生きている

もしかしたら
一生、かもしれない。

微熱続き

ここの所
暑さで寝起きも悪く

いよいよ
変な夢ばかり見ている

今日は診察日なので
意を決して午後診へ

相変わらず

精神科へ行って
内科だの皮膚科だの

主治医の専門でない
勝手な相談ばかり

しているのだけれど

今日はついに
耳鼻咽喉科になった

右側、扁桃炎の様子を
口を開けて診てもらって

抗生物質と
消炎鎮痛剤を出してもらう

本題のほうは
相変わらず

「ウツです」 を繰り返し

過食対策として
眠剤を調整してもらい

甲状腺ホルモン製剤を
加えたほうがいいですか、と

訊いてみたところで

「じゃあ一回調べよう」 と
採血することになった

診療明細を見ると
生化学検査(Ⅱ)と

もれなく書いてある

ということは
恐怖の中性脂肪やら

コレステロールなんかも
出てくるのかな

企業に属していないと
健康診断が無いから

カラダにとっては
いいことかも知れない

とにかく今は

ものを飲み込めるように
なることだな。

tonsillitis

数週間前から

クスリや食べ物が
飲み込みにくく

違和感を感じたので

携帯の LED を照らし
手鏡を使って覗くと

右の扁桃が腫れて
喉を半分塞いでいる

これでは
飲み込みにくいはずだ

扁桃炎だろうか

それでも、まだ
左側が空いているから

食べ物も食べられるし
クスリも飲めないことはない

そういえば
微熱も鼻づまりもあって

なんとなく気怠い

よく考えてみると
一年を通じて

ずっと風邪を
引いているような気がする

少し、寝苦しいけれど

生きているから
まあ、いいことにしよう。

雨の街へ

多忙な友達の
忙殺の合間を割いてもらい

昨日、終電のあとから
久々に飲んで食べて

各駅停車に揺られながら
帰路に就いた

もう、ずっと

そのままにしてあった
CDを渡して

忙しいなりに

元気で、何故か懐かしい
彼女の笑顔を見られたので

お互いに疲れていて
お酒は進まなかったけれど

とても嬉しかった

電車に揺られる僕に
「雨の中遠くまでありがとう」 と

メールが届いたけれど

お礼を言いたいのは
僕の方だった

雨の日は億劫だけれど

誰かと歩く街は
一人で歩く道より

ずっと楽しくて
心が軽いものだと

僕に
気付かせてくれたから。

自業自得

目を覚ますと

見慣れた自室が
どこか薄暗い

牢獄のような場所に
感じられた

激しい胃痛や
胸焼けが襲い

なす術も無く

ただぼんやりと
横になっていたけれど

それは

単なる暴飲暴食のため
というわけでは

なかったかも知れない

たとえ血を吐くような
人生の終局にあったとしても

僕はきっと
同じようにこの

見慣れた天井を
見つめていただろうと思う

午後も遅くなり
なんとか起き出したものの

よく考えたら
いまの僕には

やらなければいけない
つまり

人様に対して
責任を負うような仕事は

一つもないのだと
改めて気付き

声を殺して
少し、笑った

暑い日が続く
真夏にはどうなるんだろう。

主人公

これといって
疲れることもないのに

「お疲れ様」 を
振りまいている自分が

少し、汚く見えた

それでも飲み下す
冷たい缶ビールの味は

僕を現実に
繋ぎ止めるには十分で

こんな一缶の酒さえ
良い気分で飲めない人が

まだ大勢いるのかと思うと

なんとも後ろめたい
複雑な思いがしたけれど

いつだって人間は

自分に都合のいいように
物語を形作っては

何食わぬ顔で
偶然のような振りをして

その物語の主役を
演じたりするもの

それでいいんじゃないか
いや、いいのだと思う

むしろ人間は

自分の幸せをよそに
誰かの幸せを祈れるほど

崇高な生物ではない、と
ぼんやり思う

あらゆる一切の
「綺麗事」 を除いて

自分が一番大事
そして親しい人も大事

他人も少しは大事

その、「親しい」 とか
「他人」 の幅や解釈が

絶えず変化しているだけ

だから、人間臭くて
人間らしい

どこか憂鬱だけれど
晴れ晴れとした気分

なんて書いたら

また、頭がおかしいのかと
思われるんだろうか

明日も雨の予報。