Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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記事一覧

冷たい背中

真っ暗な部屋の
僕の定位置

ベッドの上

部屋の隅っこに
膝を抱えて座った

暗い部屋の中で

冷たく吹き下ろす
空調の風と

明々と光を放つ
いくつかの液晶だけが

異質に感じられ

その違和感が
静かに響く歌声

「ロング・バージョン」 で
見事に中和されている

こんな風に
静かに過ごす時間が

今の僕には
何よりも幸せで

もしも、今
恋人を作るとしたら

真っ暗な部屋で
無口にワインを酌み交わし

時々、視線を合わせては
静かに笑い合って

疲れたら
お互いにしなだれかかり

やがて眠ってしまう

そんなひとが
いいと思った。

スローバラード

外に出る
気力が無いので

レトルトカレーと
電子レンジで作るごはんで

カレーライスにした

僕の部屋には
もう何日も

明かりが灯っていない

鳴りっぱなしの
「ロング・バージョン」 に

合わせて歌う咽も
そろそろ枯れてきて

声が出ない

普段の
眠れない状態が

まるで嘘のように

何時間でも、何日でも
眠れる最近は

昼も夜も構わず
眠ってばかりいる

天井を見ていたら
また眠るのだろうか

それとも眠れずに
ぼんやり泣くのだろうか

取るに足らない
この世界の機微に

揺られながら。

魔法の言葉

「大丈夫」

いつの頃からか
それが口癖になっていた

大丈夫、なんかじゃない
いつだってそう

僕がカラ元気でいれば
みんなの心配が

ひとつ減るから

自暴自棄の末の醜態を
誰にも見せなければ

「忙しかった」 の一言で

誰にも心配させずに
時間を進められるから

そんな風にして
色々な感情と闘っている人は

きっと多いはず

人に言ってあげれば
お守りのようになる

魔法の言葉を

いつしか自分のために
自分を隠すために

使うようになった

僕はその時点で
もう、大丈夫なんかでは

なかったんだな。

信用のない口癖

友達が電話をくれた

ずいぶん心配をかけ
心配してもらい

話し込むうちに

僕を捕まえて離さなかった
不穏な緊張は

緩やかに
溶けていった

彼女との交友関係が
いつまで続くのだろう、と

また新しい
不安材料を作りながら

まったく損な病気だと
苦笑いする

半分ほどけた後ろ髪を
結び直しながら

ミネラルウォーターに
口を付けた

水の味は分かる
まだ僕は、大丈夫。

雨の池袋

何かがおかしい
今日は、早い

そう思った時には
もう遅かった

得体の知れない不安が
心を埋め尽くし始め

僕を占拠してしまうまで
10分とかからなかった

安定剤を、飲む
多少多かろうと、飲む

BGMは、稲垣潤一の
「ロング・バージョン」

さよなら言うなら

言おうとしている人が
何人いるだろう

怖ろしくなってきて
ペットボトルの紅茶を

一気に飲み干した

賑やかな、池袋の街を
目を伏せるようにして

人波に
もみくちゃにされながら

泣きながら

歩いている僕が
見えた気がした。

北風

文化の日は

僕にとって
たいした文化の発展もなく

寝潰れて終わった

もの凄い寒さが
未明から続いているけれど

これはそろそろ
本格的に冬支度を

始めなければ
いけないだろうか

甲状腺に問題があり
代謝が良くないので

寒さには弱いけれど

それでもやはり
ギラギラと照り付ける夏より

雪解けの水に
びしょ濡れになる

冬のほうが好きだと、思う

窓を開けたら
北風が冬の匂いを

予感させている

昼食、夕食
夜食にヨーグルト

食べてばかりだな。

遠い雨音

日課のヨーグルトを
何とか食べ終えた

昨日は
一日ベッドにいて

何度か目を覚まし

雨音を聴いたりしては
また知らないうちに眠った

ふと

枕元で光っている
携帯を拾うと

もう夜中になっている

大好きな
静かな時間

少しだけ怖い
発作のくる時間

矛盾は全部
ヨーグルトの白に溶かして

サプリを飲もう。

冬が来る

ドラマの主題歌に
なっていたような

クリスマスソングを

仰向けに寝たまま
しばらく口ずさんで

溜め息をついた

たくさんの人が
想い出を作るような日は

ひとり、部屋に篭ったり

いたたまれなくなって
あてもなく雑踏を歩いたり

心に 「ひとり」 が染み付いて

もう
誰かと一緒にいる僕を

上手に想像できない

冬は好きだけれど
イベントが多すぎるな。

ぼやけた夜景

音信不通になっていた
大切な友達が

何人か、僕の元に
戻ってきてくれた

日々、孤立感が
深まっていく毎日の中で

僕をよく知る人たちと
メールをやりとりしていると

それだけで
説明のできない涙が

一杯に溢れてきた

一人だけれど
孤独ではない、ということと

誰かと一緒だけれど
孤独を感じている、ということは

結局は、同じことなんだと
思った

だから泣いてしまう

涙は、壁紙にしてある
東京の夜景のせいに

してしまおう。

無名の予言者

徐に起き出して
バナナと梨を食べた

もうすぐ夕食の時間
このまま起きていよう

BGMは、平井堅
温かな声が安心感を誘い

食べたら再び
眠ってしまうのであろう、と

僕はひっそりと
予言者になる

当たらない予言
当たって欲しくない現実

いくつも見てきたから
しばらくは

ありのままでいよう

今日の夕食も
お惣菜と、おにぎり

エコだな、僕。