Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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透明な部屋

暮れかかった
オレンジ色の部屋で

水を飲んでは
しばらく目を閉じる

外からは
小さな子供の遊ぶ声

時折、車の音

少し詰まったような
僕の吐く息が

ゆっくりと

ゆっくりと部屋に
充満してゆく

僕が言えることは

今日も何もしなかった
できなかった

ただ、それだけ。

治りかけ

目を覚まし

おにぎりと
シュウマイを二つ

食べ終わると

何もしていないのに
どっと疲れが来た

痰はそろそろ緑色
風邪も治りかけらしい

無理をして
起きている理由も無いので

朝までゴロゴロしようか

なんて
ぼんやりと思う

昨晩は
洗顔すらできなかった

今日こそは
エリクシールシュペリエルに

願いを掛けて。

惰眠スパイラル

何もかも遅すぎた

状況を把握することも
目的地を明確にすることも

愛し愛されることも
現実を思い知ることも

僕は全てが遅すぎたんだ

裏切らないのは
白いコンクリートの質感と

汗にくたびれたシーツだけ

漫然と過ぎる時間を
秒針の音が撫でてゆく

眠ろう、何度でも
今を忘れて。

緩やかな消滅

クスリとサプリを

ミネラルウォーターで
まとめて流し込むと

いつものように
見飽きた天井を見ながら

眠りに落ちるのを待つ

頭に浮かぶのは
周りのひとのことばかり

僕は何人に慕われ
何人に内心で疎まれ

何人にとって
どうでもいい存在なのだろう

自嘲気味に
「どうでもいい」 と呟くほど

切実に拘っている

寂しいな
やっと一人になれたのに

一人になんて
なりたく無かったのに

窓から差す
光のグラデーションに

ゆらゆらと佇む
コンクリートの壁が

今日も僕の意識を
静かに、優しく奪う

早く書かなければ
眠ってしまう前に

ただ一言
「寂しい」 と。

色付く部屋

DVDを延々と観る

大好きな映画
今日はもう三回目

昼ごはんから
日暮れまでは早い

もう
寝てしまおうか、と思う

思う端から
朝の悪夢を思い出し

複雑な気分になる

カロリーを摂取し
そのいくらかを消費して

何の生産性もない一日が
あっさりと暮れる

まったく
何をしているんだろう

僕は。

鮭がゆ

未明に起きて
二度寝し

目が覚めた朝

何とも言えない
倦怠感に加えて

嫌な汗をかいていた

ひとまず
レトルトのお粥に

バナナをかじる

特に
予定もない今日は

何をしようかな。

最優先任務

徹夜のまま
軽装で転がり込んだ午前診

番号札は一桁だった

これで
厄介な用事が早めに終わり

僕は解放されるはず

けれど
良いのか悪いのか

今日は父が飲み会だと言う

よく考えてみたら
昼食、兼夕食としたほうが

出歩く回数は
少なくて済むじゃないか、と

サービスで置いてある
コーヒーを飲みながら思う

まあ、いいか
猛暑は去ったことだし

さて、何を食べよう。

曇り、のち曇り

机に座ったまま
しばらくうたた寝をして

目が覚めた

今日は診察日
寝潰れてはいけない

そんなことを思いつつ

音楽を聴いたり
簡単なゲームをしたり

あくびは出るけれど
眠れない

というのが
結構ありがちな話で

退屈は人を
殺せるかも知れない

というのもまた、ありがち

天気予報が
雨じゃないだけ

まだましか。

ダイヤモンド

雨の日は
部屋を暗くして

ベッドに
仰向けに転がり

ただ秒針の音を
聴いているのがいい

今、僕と世界の間に
介入するモノは

何も無い

こうやっていつも
時が過ぎなければ

いいのに、と思う

日常も、生活も
何もいらない

限りなく透明な

ダイヤモンドのような
「静」 が欲しい。

喪失回避

僕は何時から
こんなに

弱く成り果てて
しまったのだろうかと

ぼんやり考えた

何をしていても
相手に迷惑をかけていないか

何を口にしても
相手から嫌われないか

どんな行動に出ても
相手が離れてしまわないか

そんなことばかり
気にして過ごしている

これもウツのなせるワザ
と言ってしまえば

それまでなのだけれど

失うことの 「痛さ」 が
この心に焼き付いている

別れることの 「辛さ」 が
今も僕を縛り付けている

だから嫌われることが
誰かを失うことが

たまらなく怖い

こんな気持ちでいるのが
僕だけでなければ

いいのだけれど。