記事一覧
複雑な気持ち
温かい気持ちや発想は
美しい心からしか
生まれない
生温く濁った
ウツの僕からは
一体
何が生まれるだろう
秀逸でなくとも
ただの日記であろうとも
誰かが見ることのできる
オープンな場所に
文章を書く身として
そんなことを
何度も気にしてきた
実際、不愉快なものも
たくさん書いたと思う
けれど
何かを生み出すことが
僕の生きている
何よりの証拠であって
心が曇っていても
それをやめてしまう勇気は
僕には無い
ああ、何か
自分も読んだひとも
みんなが
幸せになるような
詩や文章が
書ければいいのに。
魔法の水
ずいぶん長く
部屋に保管してあった
水を飲んでみると
暖房のせいか
すっかり温まっていて
生ぬるい
それは
「ひと」 の温度に
少し近く
感じられて
何口飲んでも
不安を誘わない
魔法の水のように
思えた
温度というのは
自分で思っているより
はるかに大切な
感覚なんだな。
幸せを願う日
目が疲れた、と
目元に当てた指が
氷のように冷たい
そう言えば
クスリをひとつ
飲み忘れていたと
バナナを
一本齧ってから
キャップを
開けたばかりの
ミネラルウォーターで
飲み干す
今日も夕暮れが近い
少しだけ
時差のある僕は
調べ物を続ける
たくさんの人が
今日、幸せになることを
願いながら。
大出血
横になっていたら
やけに肩が冷たいと思い
手で触れてみると
以前、掻きむしって
湿疹になっていた部分から
大量に出血していた
まるで
オペを終えた医者のように
指から手の甲まで
血まみれになった手を洗い
暫くの間
止血に没頭した
パリパリに乾いて
かさぶたのようだったのに
突然鼻血が出たような
出血をするなんて
余りにも長引く不調に
頭が痛い。
ゴロゴロ
夕食をとり
よく冷えたチャイを
飲んだ
チャイと言えば
ホットで飲むものと
思い込んでいたけれど
冷やして飲んでみると
まんざらでもない
ただ
どういうわけか
飲み終えたあたりから
お腹の様子がおかしい
牛乳では
ゴロゴロ言うけれど
まさか
チャイの原材料名にある
「牛乳」 が
犯人なんてことは
ないよなあ
おいしいから
まあ、いいか。
time flies
ここのところ
正午を過ぎたら
起きるペースだったのに
今日は起きたら
14時を回っていた
友達と話していて
読んだことが
あるような無いような
宮沢賢治の童話を
探して読み始めたら
すっかり
日が暮れていた
何一つ
やり終えていない
一寸の光陰
軽んじているのかな
僕は。
デジャヴ
ミネラルウォーターを
口に含んで
確かに味はあるけれど
水でしかない、と
当たり前のことに
安心して飲み下す
自分が過去に
話したことのある話題を
話した気がする、と
「デジャヴ」 のように
曖昧に認識しながら
内容については
ほとんど記憶していない
未来の僕は
まだ現れていない
過去の僕は
人の記憶の中だけにいる
現在の僕は
この水のように
透明に時間を流れるモノ
たぶん、そう。
bitter smile
モニタの光から
目を落とすと
僕は
曖昧に苦笑した
今の生活を
微細に改善しても
いつか
性質の違う
大きな問題の壁に
突き当たるだろう
そんなことを
思うたび
「日常」 と
「非日常」 の交差する
僕の毎日は
滑稽なものに
見えてくる
自嘲というほど
ネガティブではない
溜息というほど
納得しきれてもいない
こんなときは
笑うしか
ないものだな、と
僕は、ぼんやり思って
一呼吸置いてから
視線を、戻した。
トンネル
少し休もう
休憩を取ろう
そう言いつつ
横になっては
ついつい眠ってしまう
そんな毎日が
延々と続いている
末梢神経障害は
8割方、良くなったものの
掻きむしったせいで
肩には湿疹ができるし
太ももの付け根と尻も
体重を乗せると
まだ、じんわり痛む
満身創痍ではないけれど
怪我と入れ替わるように
気分が急降下したので
踏んだり蹴ったり
長いトンネルを抜けると
そこには一体
何があるのかな。
本の感触
友達から
プレゼントしてもらった
二冊のエッセイのうち
一冊目を
サイドボードの
スタンドの明かりを頼りに
読み進める
紙媒体のほとんど無い
僕の部屋に
文庫本があるというだけで
なんだか嬉しくて
手に持った感触、重さ
紙の匂いを
しっかり確かめながら
少しずつ、読む
子供の頃、登下校の道で
歩きながら
小説を読んでいた
幼い僕が
懐かしく思い出される
ああ
こんな感じだった
ページのめくり方も
栞を本の裏側に
薬指で押さえて持つ癖も。