Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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奏功

ゆっくりと

何度寝か分からない
浅い眠りの中から

現実へと、帰る

あと少しもすれば
正午

そんなところだった

風邪が治ってきたのか
倦怠感も酷くはない

喉も頭も
一時期ほど痛くもなく

さては

あの特大の
レボフロキサシンが

見事に効いたのかと

暗い部屋の中
ペットボトルを片手に

裸で苦笑いする

「おはよう」 や
「いってきます」 の

痕跡の入り乱れる
液晶画面

僕は

今日という日に
どうやって

ひとつひとつの
線を引けばいいだろう

流れるだけ
流されるだけ

それでも
立派に生きてること

今は、それで十分。

襟足

行きつけの美容室の

担当のスタイリストさんが
退職されるということで

後任の方へ挨拶方々
カットをお願いしに行った

僕の髪型や髪の癖など
細かいことについては

新しいスタイリストに
引き継ぎをしてあるから

安心して下さいと

最後のカットの時に
聞いてはいたけれど

ハサミを入れる立場も

前に違う人が
拘って拘って切っていた

その髪を切るのは
複雑な心境だろうと

僕は、何となく思い

去年の夏前から
しっかりと一年くらい

ロングのストレートで
通してきたので

そろそろ
バッサリと切って

ミディアムかショートで
行きましょうか、と

これから担当してくれる
若い男性に伝えた

美容師という仕事が
どういうものかは

僕には想像もできない
けれど

先輩のしてきた仕事を
そのまま引き継ぎ

なおかつ
同じクオリティを

要求されるということは
とても気の重いもののはず

僕は

新しい担当さんが
僕の髪を見て

これが似合うだろう、と
思った気持ちで

ハサミを入れて欲しかった

髪を纏める癖は
そう簡単に抜けず

いまでも首の後ろに
何気なく触れては

軽く絡まる襟足に
戸惑ったりもするけれど

僕にとっても
彼にとっても

また、新しい
区切り目になったと

そんな気がする

季節は秋
気分転換なら、今だ。

誕生日

誕生日ってのは、歳をとったことを祝うんじゃないよ。

この世界に生まれることができたこと、
また新しい一年を迎えられることを祝うんだよ。

前に進む意志

ある女性と出会い
チャットで話したのは

先月の暮れだった

彼女は
周りの人間関係に

引き込まれてしまう
自分自身を問題視し

僕は
それを解決しようと決めて

彼女に

自分の意志できめて
それに責任を持つ

ということを伝えた

最後に彼女と
二人で一度だけ

初対面だったけれど
会って話をした

彼女はもう
確固たる方向性を持ち

僕と、いわゆる
男女関係になることを

きっぱりと断った

それでいいんだと
僕は心底思ったし

その決断が、彼女の
これからの人生の中で

とてつもなく大きな
道しるべになるということも

僕を安心させた

僕は
彼女と会うまでの

会話の中で

彼女を好きになって
しまっていた部分もあり

優柔不断であったけれど

目の前で
強い力に引き込まれる

それまでの経験を
思い出しながら震え

俺のことを 「初対面」 だと
言い切った姿を見て

僕には、どこか

自分が無理を言って
彼女を誘っているような

訳の分からない
後ろめたさを感じると共に

これまで、電話などで
一緒にたくさんのことで

笑い会えた時間が

「何もなかったこと」 として
葬り去られてしまうのが

辛くて、辛くて

深夜、レストランで
ワインを飲みながら

涙が止まらなかった

初対面、なんかじゃないし
会ったから始まる

そんなものじゃない

ずっとずっと前から
僕は彼女の向かう方向を

見つめてきたんだ。

選択肢

選択肢のあることよりも、
選択肢の無いことの方が難しそうに見える。

けれど一番難しいのは、選択肢のあるものの中で
「何も選ばない」 という選択。

あるいは、「すべてを選んで共存させる」 という選択。

バランス

大きく 「1」 の数字を
表示している液晶に

表現しようのない
新鮮さを感じて

数回、瞬きをした

僕は
移ろいゆくものの中に

変わらない

真実の欠片を
見付けたような気がして

ひとり、ほんの少し
恥ずかしくなった

通り過ぎるもの

その中にさえ
本当があるのならば

今、この瞬間には
どれほどの真実が

飛び交っているのだろう

ネガティブな自分を
笑って眺めている

ポジティブな僕は

真実と対峙して
秋を悠々と歩く

バランス感覚

そう、きっと
これが大切なもの。

夏の恋

夏の恋秋冬過ぎて春の恋

     瞳の中に君を探して

雨上がりの匂い

連休が明けて

病院の待合室は
少し、混雑していた

子連れの女性が

ぐずって泣く子供を
「うるさい」 と叱りつけ

僕は

そんなに叱ったら
かわいそうだよ、と思い

それでも

口には出さずに

ニュースサイトを
ひたすら斜め読みして

順番を待った

いつものクスリに
抗生物質をねだり

忘れている主治医に
採血もお願いし

カルテを記入しながら

「何ミリ?」 と聞く
主治医の声に

「800ですね」 と
愛想良く答えると

クスリを受け取って
暗い空を睨み

行き先も決めずに
エンジンをかけた

行き着いた先は
近所の焼肉屋さん

案内された席から
ガラス越しに

夕立に走る
たくさんの人が見えて

ひとり、食べ終えて
店を出る頃には

雨は、止んでいた

一面に漂う
雨上がりの匂いは

食事の味よりも
デザートの味よりも

今日いちばんの
僕のラッキーになった

八月も、あと少し。

troublesome

夏風邪、月曜
雨続き

日付が変わるまで
たったの一時間

生きているだけで

ありとあらゆる人に
迷惑をかける

そんな心持ち

ああ

何も、書きたくない
ということを

書いておこう。

自己嫌悪

他人を嫌ったり憎んだりするのには限度があるが、
自己嫌悪というものには限度が無い。

自分のことを嫌うと、それは生き続ける限り
背負っていなければならない大きな荷物になる。

だから、自分が周りの誰より劣って見えたとしても、
卑屈にだけはなってはいけない。