人として生まれ、生きている限り、
人間のどんなに汚い部分を見ても
自信を持って「人間は美しい」、と
言える自分でありたい。
Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私
人として生まれ、生きている限り、
人間のどんなに汚い部分を見ても
自信を持って「人間は美しい」、と
言える自分でありたい。
深夜
カタカタと
キーボードの音が
寒い空気を
震わせている
明日から
遠出だというのに
眠れず
起き出しては
PCの電源を上げ
書くことと言えば
小学生の作文のよう
「お知らせ」 の
ジャンルを撤廃した
けれど
どこかで
お世話になった皆様に
お礼を伝えなければ
気が収まらない
今年も一年間
多くの出会いと
衝突や別れもありました
僕はただ
そのときどきで
皆様が僕に対して
真摯に
向き合って下さったことに
感謝し、誇りに思います
以前、詠んだ歌に
「去る人を旅立つ人と読み換えて
ただひたすらに幸を祈らん」
というものがあります
僕の元を去った方も
そして
僕が己の弱さゆえに
切り捨ててきた方々も
何卒
最高の笑顔をもって
新しい年を
迎えられることを
貧しい資質と
病んだ精神の隙間から
一心に
お祈り致します
本年は
愛情を、憎しみを
たくさんの喜怒哀楽を
本当に
有り難うございました。
武藤 希 (Nozomi Muto)
僕が
生身の人間と話すのは
食事の
お会計をする時だけだ
そう書いたら
随分と寂しく
侘びしい生活のように
聞こえるかも知れない
けれど
実際、そうでもない
子供の頃から
勤め人を降りるまで
僕は人間というものが
大好きだった
それぞれの人に
変わった個性があり
そのどれもが
好意的に感じられた
しかし
状況は、変わったのだ
今の僕は、たとえ
ネット越しであろうと
人と話すこと
関わること恋すること
何もかもが、怖い
中途半端に手を出しては
尻尾を巻いて逃げ出す
その繰り返しで
随分、人脈も失った
僕が
「もう笑わない」 と
書いたのは
誇張でも何でもない
ごく当然の成り行きで
ヘラヘラと
愛想笑いを振りまく僕に
本当の笑顔など
もう残ってはいないのだ
生きることに
疲れた中年の姿
人からは
どう見えているだろうか
僕と親しくなる人は
笑わない僕を知るだろう
そして
僕を笑わせることは
二度とできないのだと
あきらめて
心を痛めることだろう
だから誰も求めない
だから誰も寄せ付けない
カチカチと
音を立て始めた時限爆弾に
見せかけの善意や
偽善や独善的な愛情で
しがみつくもんじゃない
気がついたときには
僕と一緒に粉々だ。
電話もかかってこない
メールも届かない
ネットの上でも
こちらが話しかけるまで
誰も声をかけて来ない
そんな中
孤立感と厭世感に
揉みくちゃにされて
僕は、ひとつの
決意を心に決めた
「もう、誰とも笑わない」
それは
僕の、世界に対する
人間社会に対する
最後の抵抗だった
もう、誰の前でも
絶対に笑わない
そう決めた僕の目に
じわり、と
涙が溢れ流れるのを
頬に感じた。
夕べ
眠剤で寝ぼけて
随分と情けなく
みっともない愚痴を
友人に送ってしまった
その愚痴について
僕は誰にも、一言も
責められてはいない
けれど
自分の中に
どれほどの不満と
コンプレックスの塊が
汚泥のように
堆積しているのかと
ひとり
不甲斐ない自分を
責めた
今日はクリスマス
誰もが笑顔になる日
そんな時に
自己嫌悪に
押し潰されているのは
僕くらいのものだろう
人を愛する
ということの始まりは
自分を愛すること
たとえ、無理だとしても
今より少しでも
自分を好きになれたら
誰の支えもない
孤立した、この空間で
僕は
鼻まで布団にもぐって
少し、泣いた。
いつも明るくヘラヘラ笑っていて、
他人の心配なんかしたりして、
そんな人こそ
嫌というほど孤独の中を生きているんだよ。
綺麗なものばかり期待していると、
汚れたものを直視できなくなる。
汚いものを見慣れてしまうと、
美しいものを見つけ出せなくなる。
食事から帰り
誰もいない
真っ暗な玄関で
「ただいま」 と
小さく呟く
もう三年近くも
父と二人で
生活してきたのに
こればかりは
いまでも苦手で
仕事をしていた頃
自分が
一人で暮らしていた
ということが
まるで夢のような
出来事に思える
孤独を知り
それを
上手に使えるのが
大人だとすれば
僕はまだ
成長が足りない
次々に
部屋の灯りをつけ
にわかに
生活感を帯びた家で
一人、そう思った。