記事一覧
reason to write
今日の日中は
コーヒーばかり飲んでいた
あまりの退屈さに
以前、企画として
しばらく続けていた
ボイスブログを
またやってみようか、と
考えたけれど
よくよく考えたら
あの企画は
リスナーが少なすぎて
企画倒れになったのだ
と思い出した
同時に
一日に
何回のアクセスがあって
どの記事に
人気があるようで
そんな小さなことを
いちいち数えては
戦戦兢兢として
書く内容に悩んでいる
自分の姿が
ひどく情けなく思えたことも
思い出した
僕はただ、ここに
生きた証だけを
残していけばいい
創作をするにしても
友達にメールを打つにしても
きっと同じこと
たぶん、僕は
自分がまだ生きている
ということを
確認するために
書き続けているのだから。
ID
椅子に座ったまま
目を瞑り
大阪の人だかりを
脳裏に歩いていた
そして
その中の誰一人として
同じではないのだと
ごく、当たり前のことに
ひどく驚いて
目を開けた
もしも、今の僕が
昔と変わってしまったなら
いま出会う人は
変貌した僕の姿しか
見ることはできない
「僕が変わっていない」
ということを
証明するための
「何か」 が欲しいと
強く、思った。
in my way
夕方の
ファーストフードで
空になったコーラの
ストローをすすりながら
思った
人生というものは
曲がりくねっているのが
本来の姿であって
真っ直ぐに生きようと
努力することは
美徳では
あるかもしれないけれど
真実とは言えない
それを知った上で
なお、真っ直ぐに
強引な程に
前へ前へ進もうとする
僕のような人間は
自分の
進んでいる方向に
つまり
自分自身に対する
信用を無くした瞬間
粉々に
砕け散ってしまうのでは
ないだろうか
生き方に
正しいも間違いも無い
なんていうのは
社交辞令であり
ただの詭弁であって
こう生きるのが
ベストだ、といえる姿勢が
きっとあるはず
倫理観なんて
もう、ウンザリだ。
被客観視
この世界に存在する
「僕」 という人間は
僕を見ている
人の数だけ存在すると
当たり前のことに
改めて気付く月曜日
自分自身でさえ
世界とのズレを
常々、感じるのだから
僕と接する人々にとって
僕はおよそ
珍獣のようなものだろう
そんなことを
ぼんやりと考えつつ
昔、詠んだ歌を
ひとつ、ふたつ
引っ張り出して
声にしてみた
客観視することは
それほど下手でもない
これからは
客観視される練習も
した方がいいだろうか
どちらも同じことか。
社会的な死
お気に入りの邦画
「恋空」 のDVDを
一人、恍惚と観て
今日は涙に暮れた
主人公のヒロは
恋人との間に宿った命を
流産で亡くし
その恋人の人生を
幸せに導きたい一心から
敢えて嫌われ役を演じ
彼女を遠ざけ
晩年、再会を果たし
事実と想いを告白するも
ガンとの過酷な闘病の末
朦朧とする意識の中で
恋人に
「笑って」 と
最後の言葉を投げかけ
その涙目の笑顔を見届けて
帰らぬ人となる
僕がこの作品に
痛く共感を覚えるのは
主人公のヒロが
親子三人
水入らずの生活を
何よりも望んでいながらも
襲いかかる病苦に
抗う術もなく
「死にたくない」 と
恋人にだけは
泣きながら本音を告げ
社会からも
生物学的にも
封殺されていく姿に
あまりにも自分の姿が重なり
共感するからだろう
明るく振る舞えば
振る舞うほどに
滅びの姿が浮き出てくる
だから
意図的に人を遠ざける
セカイにも人にも
僕は、もう
興味はないのだから。
哀しみの影
昨日の深夜
地震があったらしく
真っ暗な部屋に
明々と光る
モニタを前にした僕を
随分と長く揺らした
震災以来
テレビに映された
家族を捜す人々とは
また少し違う
カタチのあるものや
無いものを
ゆっくりと失いながら
僕も相変わらず
生き残っていて
哀しみは
あの、3月11日に
突然、どこかから
湧いて出たような
そんな大袈裟な
ものではないのだと
曖昧に苦笑する
哀しみなら
いつだって目の前にある
喜ぶ人の背中には
哀しみが
出逢う人の影には
別れが見え隠れしていて
そんなことは
子供の頃から
重々承知だった
僕を 「人嫌い」 と
評価した人たちは
おそらく
僕の背中に付いてくる
僕自身の
哀しみの影を
見てしまったのだろう。
金曜と憂鬱
今日は
通りを行き交う
車の数が少ない
静かに自室にいて
耳を欹てていると
そんなことを思う
何のことはない
長閑な暖かい午後
そんな空気とは
およそ不似合いな
飲み散らかした
ペットボトルの容器が
机の端から
じわりじわりと
攻め寄せてくる
夕食は
何を食べようか、と
大して選択肢も無いのに
真剣に悩んでは
どうでもよくなって
体を背もたれに預け
机上のモニタを眺める
こんな日こそ
雨が欲しいのに
そう思った途端
幼児たちの声が聞こえた
雨が降らなくて
良かった。
豚骨スープ
汁だけになった
カップ麺の容器から
人工的な
豚骨スープに似せた
湯気が上がった
夜、22時
油から離れて
何層にも分離してゆく
その
ニオイのする液体を
割り箸で
ゆっくりとかき混ぜ
僕は、ほっとする
なぜなら
この器の中のものは
混ざっていなければ
意味を成さないからで
きっと
人間関係においても
ほどよく中和され
念入りに
かき混ぜられてこそ
その実体を感じられる
そんな 「何か」 が
目に見えず存在するのだと
ふと、思う
差しあたり、僕は
表面に分離している油
といったところだろうか
いつもより
少しだけ鼓動が速い
週末が、近い。
曖昧と真実
僅かに
透き通った何かを
期待しては
真っ黒な
煙を味わう
真実は
誰にも分からない
それならば
曖昧さを
愛するべきだと
賢人の言葉を辿る
道化者
僕が
曖昧なものを
曖昧なままにしたなら
きっと、それは
カタチを失って
存在自体
無かったことのように
なってしまう気がする
真実が
見つからないならば
真実を
作ってしまえばいい
ただ、それだけのこと
本当のことなんて
人の数ほど
存在するのだから。
lance of the world
僕を閉じ込めた
白いコンクリートの箱に
乾いた苦笑いが響く
正午前の月曜日
誰もいなくても
天気さえ見えなくても
セカイは僕に突き刺さる
だから僕は
こびり付いた卑屈な感情を
洗い流す
生ぬるい
紙パックのジュースで
眠るしかないのに
眠れば忘れていられるのに
この頭に目に、耳に
腕に、脚に、心に、カラダに脳に
セカイが突き刺さる
今日もまた
いつものように。