Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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前に進む意志

ある女性と出会い
チャットで話したのは

先月の暮れだった

彼女は
周りの人間関係に

引き込まれてしまう
自分自身を問題視し

僕は
それを解決しようと決めて

彼女に

自分の意志できめて
それに責任を持つ

ということを伝えた

最後に彼女と
二人で一度だけ

初対面だったけれど
会って話をした

彼女はもう
確固たる方向性を持ち

僕と、いわゆる
男女関係になることを

きっぱりと断った

それでいいんだと
僕は心底思ったし

その決断が、彼女の
これからの人生の中で

とてつもなく大きな
道しるべになるということも

僕を安心させた

僕は
彼女と会うまでの

会話の中で

彼女を好きになって
しまっていた部分もあり

優柔不断であったけれど

目の前で
強い力に引き込まれる

それまでの経験を
思い出しながら震え

俺のことを 「初対面」 だと
言い切った姿を見て

僕には、どこか

自分が無理を言って
彼女を誘っているような

訳の分からない
後ろめたさを感じると共に

これまで、電話などで
一緒にたくさんのことで

笑い会えた時間が

「何もなかったこと」 として
葬り去られてしまうのが

辛くて、辛くて

深夜、レストランで
ワインを飲みながら

涙が止まらなかった

初対面、なんかじゃないし
会ったから始まる

そんなものじゃない

ずっとずっと前から
僕は彼女の向かう方向を

見つめてきたんだ。

troublesome

夏風邪、月曜
雨続き

日付が変わるまで
たったの一時間

生きているだけで

ありとあらゆる人に
迷惑をかける

そんな心持ち

ああ

何も、書きたくない
ということを

書いておこう。

幸せな明日

目が覚めると

書きかけの
文章を映した液晶が

腕の下に
転がっていた

たとえばそんな風に
僕の一日は始まる

夜、眠りに就くとき

明日起きることを
楽しみにしているひとは

幸せである、と
何かで読んだことがある

僕は

明日を怖れる
とまではいかなくても

幸せを見つけることが
いまひとつ下手で

明日を楽しみに眠る
なんていうことは

到底できない

幸せというものは
存在するものではなくて

そこにあるものを

自分が
幸せと感じられるか

ただ、それだけのこと

生きるということは
本当に、難しい。

last words

過去に

僕の元を去っていった
人たちの言葉を

思い出していた

自分は自分の道を
進むのだと言った人

あなたには
付き合いきれないと

愛想を尽かした人

現実的な同機だったり
ただの喧嘩だったり

それは
どれを取ってみても

言い訳にも聞こえるし
最もらしくも聞こえる

そんな言葉だった

ただ、ひとつ
敢然と成されたこと

それは

僕のことを
「もう必要ではない」 という

はっきりとした宣告

いつの間にか僕は
何かしら

自分が生きている
ということが

多くの人々にとって
とても迷惑なことなんだと

深みにはまる癖がつき
卑屈さを増していく

誰も彼も
一度近づいてきては

波のように

根こそぎ何もかも
持ち去ってしまう

こんな感覚ほど

人を浅ましくするものは
ないんだろうな

白旗でも
立てておこうか。

parallel world

僕の目が
見ている世界

僕の耳と
会話している人々

それは

紛れもなく
そこに存在する

けれど

人の数だけ
真実が存在する中に

絶対的な何かを
探ろうとする僕は

今日もひとり

やり場のない焦燥に
追い立てられる

真実も、世界も

そこに介在する
人の数だけ

存在している

だとしたら

精一杯
「いま」 を歩く以外に

美徳とするべきものなど
どこにあるだろう

僕は何に
甘えているのだろう。

social distance

誰かの言葉に

見え透いた
良い社交辞令だと

心で失笑しながら

どこか、その言葉に
そのひとの長所のような

善意のようなものを
感じてしまい

痛く感心してしまう

どうやら僕には
そんな癖があるらしい

けれど

それは
僕自身にとっては

良いことばかりとも
言えないようで

お世辞は
所詮、お世辞なのだ

現実を忘れて

過剰な期待だけが
一人歩きを始めると

大抵の場合

気が付いた頃には
手に負えないことになる

愛想笑いの奥に

「友達」 という
便利な言葉の裏側に

ただ息を潜めて
静かに隠れている

人間という動物の
利己心と汚さを

知っても、なお
人を好きでいられるか

そこからが
出発点なのだろう

いくつもの
美しい笑顔と、言葉と

苦い経験を並べて

ふと、そんなことを
思った。

言葉の源泉

何も書く気が起きない
そんな夜は

「今日は書けなくていい」

きっぱりと
そう思える自分になれたら

どれほど
気持ちが楽だろうかと

ときどき、考える

詩も、歌も、句も、曲も
こうして書き散らす駄文も

大した違いはないし

誰かからお金を頂いて
書いているものでもない

書かなければ
創らなければ、と

焦っている時に限って
往々にして

人生のどこかで出くわした
素晴らしい文章を

曖昧な記憶で
へたくそに模倣して

とんでもない駄作が
出来上がるもの

僕が書くものは
「僕」 を表現していなければ

何の意味も成さない

その時間を生きた証には
成り得ないのだ

書けないことが苦しければ
読むのはどうだろうか、と

古い文学小説をめくり

友人の撮った写真に
胸を打たれる

そして、気付いた

言葉は
覚えなければ喋れない

創作もきっと
最初に感動がなければ

生まれないのだと。

止まった時計

ここ数日

自分から
逃げたつもりになり

またしても

気まずい空気を
漂わせた挙げ句

現実に戻ってきた

療養生活を
始めて以来、僕は

「友人が離れてゆく」
「セカイが変わってしまった」 と

思っていたけれど

友人たちが
年齢に相応しい姿なり

年相応のかたちで
人間関係を再構築するのは

二十代から
三十代近くにもなれば

当然のこと

毎日同じような生活で
一日も十年も変わらない

時の止まった
僕の感覚のほうが

ズレているのだ、と

今更になって
ようやく少し

気付き始めた

恍惚としたお祭り騒ぎと
ウツの自己嫌悪の中でも

少しずつ

友人たちの過ごしている
年相応のセカイと

その感覚に
近づきたいと、思う

変わる努力をしてこそ

去って行った
仲間たちの気持ちが

分かるのだと、思う

鳴らない電話を
今日も持って出かけよう。

friday gone

何かを手に入れた分
何かを失う

人生は

そんなにフェアには
できていない

失って、失って
最後にやっとひとつ

何かを手にすることが
できるかどうか

そんな所だろう

地球の上を

小さく四角形に
切り取った部屋の中で

失したものの数を
考えながら

僕はまた

今日という
貴重な時間を

見送ってしまった

泥臭くなければ
生き残れない

いい加減
オトナにならなければ。

終焉への道

壊れ始めたら
いつも止まらない

眠剤を酒で流し込んで
意識を失うようになったら

いよいよ
人間お仕舞いだと思い

飲みたがる喉を
惨憺たる思いで説き伏せる

昨日、一昨日の未明には
クスリで呆けた頭で

歳の離れた友達に
本意の伝わらないメールを

送りつけて
怒らせてしまい

今日は今日で

苦しくて、苦しくて
お酒を飲んだ友達の心を

和ませるべき場面で
またしても自分の話をして

酷い自己嫌悪と
内罰的な感情の一切合切が

不安定になっていた心に
トドメの杭を打ちこんだ

どうして僕はいつも

思いとは裏腹の
不本意な言動ばかりして

友人や知人

その他多くの
自分を応援してくれる

大切なひとの信用を
失ってばかりいるのかな

迷惑ばかり掛ける僕が

全てを投げ出す日は
そう遠くない気がする

愛し、愛されること

つまり
出会っては別れることを

十年、それ以上も
繰り返してきた僕が

心から欲しいのは

どこにでもある
少しだけ風変わりで

静かで繊細で人間臭い
当たり前の人々の世界

人間失格

心の中は、いつも
どんよりと曇っている

瞳も。