Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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飲んでいる
薬の副作用に

口が渇く
というものがあり

口の中が乾燥して
非常に気持ち悪いので

飴を舐めてみることにした。

効果はまずまず
ただし

寝たまま舐めるときは
横向きにならないと

喉をつめるな

一長一短か。

加速する不眠

ここ一ヶ月くらい
持病が悪化している

と言っても
気分障害ではなくて

不眠のほうが、ひどい

布団に入っても
3時間近く眠れないのが普通で

朝まで起きてしまう時もある

今のところ
処方してもらった薬で

様子を見ているけれど

一睡もできない日は
それほど無いので

良しとするしかないのか

まったく
ややこしい病気を

抱えてしまったな。

低空飛行

今回のウツは
ずいぶんと低空飛行

外出することさえ
ためらうような有様

動けなくなればなるほど
「何かしなければ」 と

思いは焦りに変わり

途方に暮れて
毎日のように頼む

宅配ピザ屋さんの
常連になってしまった

症状として動けないのに
それを自責するのは

何かが違っている

けれど今の僕には
動けない時間の長さが

ほとんど一日分
乗っかってくる

持病との付き合いを
とても難しく感じる

そんな春になった。

三寒四温

父との衝突が
だんだん減ってきたので

父の休日にあたる
金曜から日曜は

昼にコンビニ弁当を

夜は、父の作った
カレーを食べることにした

一ヶ月ほど前から

激しいウツの
答えのでない不安と

焦燥感に襲われ

数年来のウツの深さに
閉口していたけれど

新しくもらったクスリで
不安は湧いてこなくなった

あとは、もう少し
意欲が欲しいところだけれど

このクスリをあと二週間
飲むように言われたので

飲みながら様子を見よう

それにしても
今日は雪まじりの寒い日

三寒四温か。

夏を待つ窓

実に一週間ぶりに
掃除を終えた部屋の

窓を小さく開けた

体中に纏わり付くような
高い湿度の不快感とは

まるで正反対の

涼しくて透明感のある風が
僕を通り抜けた

梅雨が明ければ、夏

例年、猛暑には
ウンザリしているけれど

今年の夏は

少しだけ変化のある
普段と違った夏になりそう

そう考えるうち

「夏も悪くないな」 と
呟いている自分に

案外、単純な生き物だなと
失笑する

何を得ようと、何を失おうと

それが物であろうと
大切なひとやイノチであろうと

時間はすべての人に
平等に流れている

たとえ僕がこの先
どれだけ生きようとも

たとえ僕がこの先
どんな末路を辿ることに

なろうとも

こういうのを
「しあわせ」 と

呼ぶんだろうな。

数年後の彼女

昔なじみの女友達と
大阪で会って

あれこれ話しながら
ゆっくりと飲んだ

彼女と会うのは
実に八ヶ月ぶりで

会うたびに

少しずつ大人になる
彼女を見ていて

心から嬉しく思った

バレンタインに
一人で騒いでいたと

電話で漏らした僕に

こっそり買った
チョコレートをくれるなど

彼女らしい思い遣りは
相変わらず健在で

「大人に気を遣うな」 と
言えない年齢に

二人ともなったんだと
僕は、素直に受け取った

酒が弱くなった、と
それほど注文もせずに

近況報告と
雑談で話し込む夜

彼女がまだ
中学生の頃に知り合い

本当にときどき
こんな風に会いながら

今でも僕を
「友達」 として見てくれる

そんな彼女にとって
僕はどんな存在なんだろう

どんな存在に
なることができるだろう

僕には子供がいないから

若い人の成長した姿と
変わらない長所を見ると

安心して嬉しくなる

こんなことを思うのは
彼女の友情に対して

失礼かも知れないけれど。

当たり前の部屋

鍵を回して
扉を開けると

すっきり見慣れた
真っ黒な空間が佇む

「ただいま」

僕は、念を押すように
もう一度

小さな声で
「ただいま」 と呟いた

孤独の本質が
どのようなものかと

考えることに疲れ

最近はただ
淋しさと侘びしさを

眺めるだけの
日々になってしまった

冬の空は低く
時折、小雨や雪も降る

心を温めるための
ありとあらゆる要素が

欠落したままに

物質的に安定した
今の生活は

決して不幸ではない

けれど
幸せとも呼べない

僕は、一息ついて
靴を脱ぐと

部屋の明かりをつけた

そうやって
見渡した部屋は

雑然としていて

どこから見ても
見慣れた

当たり前の部屋だった。

彼の歩いた道

22度もある室内が
今日は肌寒い

襟下あたりで切った髪を

また、背中あたりまで
伸ばそうと決め

体重計に乗っては
あと何キロ痩せようと思い

深夜は相変わらずの過食

自己嫌悪にまみれる午後は
憂鬱に埋もれる

何をする気にもならず

何もしなければ
それはそれで、また苦痛で

散歩をしてみては
という友人の提案に

「寒い」 とだけ答え

腹の底では
外を歩くのが怖いのだ

楽しそうに
過ごしている人を見ることで

その空気の外へと
追い出されてしまい

自分が何のために
その路上に存在するのか

そんな

疎外感を味わうのが
恐ろしいだけなのだ

最近は
寝ても覚めても

太宰治、一辺倒

彼が歩いた道を
いま、僕は辿っている

とさえ、思う。

約束された目標

藪から棒に

ダイエットを
しようかと思った

年末年始からの
食生活の乱れに加え

連日連夜の過食

増える一方の数字に
正直、辟易していた

いい機会かも知れない

痩せるとただ言っても
痩せられる人は少ない

あれこれと
熱心に手段を検討して

それなりに頑張り
途中で投げてしまう

そんなところだろう

それならば
特別なことは何もせず

まずは脂物や
ファーストフードを

当面のあいだ我慢して

魚介類や野菜と
サプリを組み合わせて

軽めで済ませる習慣を
付けてみようか、と

神妙に考えてみた

標準体重は遙か先

少しでも減ったならば
途中で飽きてしまっても

失うものは、無い。

鳴り続ける音

夜通しリピートで

鳴りっぱなしの音に
眠りを遮られ

目を覚ます

枕元に
クスリのシート

机にも
シートの切れ端

飲みかけの

ペットボトルの水の
透明さが

薄明かりに哀しくて
どうにもやるせなくて

暗い部屋の中で

右に寝返りを打ったり
左を向いたり

枕元のゲームを
やおら手に取ってみて

すぐに飽きてみたり
とにかく行き場が無い

大きな欠伸、ひとつ

カーテンを少し開けて
外の様子を窺う

いつもと同じ景色は
雨に染まっている

ああ

意味も無く
ひとしきり落胆して

シャカシャカと
鳴り続けている

音に興味を惹かれ

ヘッドホンを
耳に押し込んだ

このまま、このまま

きっと僕は
まだ生きていける。