電話もかかってこない
メールも届かない
ネットの上でも
こちらが話しかけるまで
誰も声をかけて来ない
そんな中
孤立感と厭世感に
揉みくちゃにされて
僕は、ひとつの
決意を心に決めた
「もう、誰とも笑わない」
それは
僕の、世界に対する
人間社会に対する
最後の抵抗だった
もう、誰の前でも
絶対に笑わない
そう決めた僕の目に
じわり、と
涙が溢れ流れるのを
頬に感じた。
Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私
電話もかかってこない
メールも届かない
ネットの上でも
こちらが話しかけるまで
誰も声をかけて来ない
そんな中
孤立感と厭世感に
揉みくちゃにされて
僕は、ひとつの
決意を心に決めた
「もう、誰とも笑わない」
それは
僕の、世界に対する
人間社会に対する
最後の抵抗だった
もう、誰の前でも
絶対に笑わない
そう決めた僕の目に
じわり、と
涙が溢れ流れるのを
頬に感じた。
夕べ
眠剤で寝ぼけて
随分と情けなく
みっともない愚痴を
友人に送ってしまった
その愚痴について
僕は誰にも、一言も
責められてはいない
けれど
自分の中に
どれほどの不満と
コンプレックスの塊が
汚泥のように
堆積しているのかと
ひとり
不甲斐ない自分を
責めた
今日はクリスマス
誰もが笑顔になる日
そんな時に
自己嫌悪に
押し潰されているのは
僕くらいのものだろう
人を愛する
ということの始まりは
自分を愛すること
たとえ、無理だとしても
今より少しでも
自分を好きになれたら
誰の支えもない
孤立した、この空間で
僕は
鼻まで布団にもぐって
少し、泣いた。
目に見えない所で
何か
離人感のような
不思議な感覚が
静かに、粛々と
僕を蝕んでいく
あるいは
単に僕が
ウツにやられて
人との繋がりを
面倒に感じている
だけかもしれない
けれど
やりとりをする
仲の良い
ほんの一握りの
ひとたちでさえ
喫茶店の
ガラス越しに
見ているように
感じる
あいた穴は
塞いでいられない
次々にあく穴を
塞ごうと焦っても
到底
間に合わない
落ちていく
セカイから
引き離されていく
もっと早く
焦りばかりが
狭い部屋に広がる
僕はどこへ
向かうのだろう
深く息を吐いた。
十二月で賑わう
近所の
フードコートで
ファーストフードの
ポテトを摘む僕の横を
全力で駆け抜けた
少年がいた
彼はすぐさま
母親に引き留められ
ずいぶんと
長く叱られていた
そして
僕はその光景を
少しかなしい気持ちで
眺めていた
確かに
食事をする場所で
走り回るのは
良くないことだろう
けれども
彼を叱る母親の目には
クリスマスを前に
賑わう冬の空気を
嬉々として
全身で楽しんでいる
「彼の気持ち」 が
見えていない、と
僕は感じた
走ったって
いいじゃないか
僕のポテトの載った
トレイを引っかけても
構わないじゃないか
いまは
冬なんだから
彼が走り回れるのは
子供に与えられた
豊かな特権なのだから
僕は
子供の頃の
十二月を思い出しながら
席を立った。
苦しいときに
手を差し伸べて
労ってくれる
人など、要らない
ただ苦しい中を
泥まみれになって
それでも歩いてる
僕を見ていて欲しい
悲しいときに
気の利く言葉で
慰めてくれる
人など、要らない
悲しみにうなだれる
僕の隣に座って
そっと一緒に泣いて
くれる人が欲しい
そんな
ありふれたようで
優しさのいる姿勢を
僕の最後の日まで
僕は持っていたい
僕の大切な人たちに
どうか忘れないで
いて、ほしい。
何かを決めたあとは
その決断について
悩んではいけない
せわしなく
色々なことが動く中
ふと、そう思った
決断というものは
粛々と遂行に移して
始めて
「決めた価値」 がある
そこで
悩んだり迷ったりして
振り返ってしまうと
大きな
精神的負荷に耐えて
せっかく決めたことが
振り出しに
戻ってしまう
不退転の決意
という言葉もあるけれど
何かを 「決める」
ということの本質を
少しだけ
甘く見ていたような
気がする
前へ、ただ前へ
生きていくために。
色々な店で
陽気な
クリスマスの歌が
流れ始めた
そんな中、僕は
相変わらず
暢気な顔をして
気怠そうに
食事をしている
クリスマスは
恋人の日じゃないとか
憤慨している人が
結構いるけれど
店内を走り回る
子供たちの笑顔が
楽しそうで
もう、それだけで
十分じゃないかと
思ったりする
たくさんの人が
笑っていること
それが
僕がこの世界で
何も持たずに生きる
たった一つの
理由かも知れない
クリスマスは
僕も少しだけ
笑えたらいいな、と
密かに思った。
一人でいるときが
一番楽だと
思いながら
誰かとの
つながりを探し
誰かと
繋がるための端末を
わざわざ予約して
機種変更する
この
一連の激しい矛盾は
どこから
きているのだろう
ネガティブに
なればなるほど
相対的に
人々は遠ざかる
かといって
無理をして
ポジティブでいても
疲れ果てる
自然体で
人に好かれない
ということは
それだけ昔より
いまの自分が
人間的に
品性を欠くということ
焦って焦って
失うものは大きい。
壁の時計に
ゆっくり目を移して
ああ
動いている、と
何かに安心して
視線を戻し
得体の知れない
焦燥感の中で
ゆっくりと
浅い息を吐く
昔と同じ速さで
動く秒針に
たくさんの人と
出会い
それぞれの人が
変わっていった
何も変わらないのは
僕だけのような
そんな気がして
焦る気持ちを
宥めようとするたび
現実は大きく
恐ろしいものに見えた
秒針の音は
乾いた質感で
心の奥に突き立つ
僕はどこまで
逃げ切れるだろう
あとどれくらい
笑えるだろう。
球体のような
僕の心の中で
焦りと迷いが
壁にぶつかっては
白い火花を散らし
燃え尽きていく
落ち着こうと
いなしたつもりが
どこにも
行き場のない自分を
浮き上がらせる
雨の日だから
誰かと喧嘩したから
人恋しいから
そんな理由で
片付けられない何かを
僕はいま
この胸に抱えて
右往左往
往年の面影は
きっと今もあるだろう
けれど
往年の魂は
何か滑稽なものに
姿を変えてしまった
みんなこうして
歳を重ねているなら
人波に問いたい
あなたは
今でも昔と同じように
誰かを愛せるか、と。