十二月で賑わう
近所の
フードコートで
ファーストフードの
ポテトを摘む僕の横を
全力で駆け抜けた
少年がいた
彼はすぐさま
母親に引き留められ
ずいぶんと
長く叱られていた
そして
僕はその光景を
少しかなしい気持ちで
眺めていた
確かに
食事をする場所で
走り回るのは
良くないことだろう
けれども
彼を叱る母親の目には
クリスマスを前に
賑わう冬の空気を
嬉々として
全身で楽しんでいる
「彼の気持ち」 が
見えていない、と
僕は感じた
走ったって
いいじゃないか
僕のポテトの載った
トレイを引っかけても
構わないじゃないか
いまは
冬なんだから
彼が走り回れるのは
子供に与えられた
豊かな特権なのだから
僕は
子供の頃の
十二月を思い出しながら
席を立った。