Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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記事一覧

信用のない口癖

友達が電話をくれた

ずいぶん心配をかけ
心配してもらい

話し込むうちに

僕を捕まえて離さなかった
不穏な緊張は

緩やかに
溶けていった

彼女との交友関係が
いつまで続くのだろう、と

また新しい
不安材料を作りながら

まったく損な病気だと
苦笑いする

半分ほどけた後ろ髪を
結び直しながら

ミネラルウォーターに
口を付けた

水の味は分かる
まだ僕は、大丈夫。

雨の池袋

何かがおかしい
今日は、早い

そう思った時には
もう遅かった

得体の知れない不安が
心を埋め尽くし始め

僕を占拠してしまうまで
10分とかからなかった

安定剤を、飲む
多少多かろうと、飲む

BGMは、稲垣潤一の
「ロング・バージョン」

さよなら言うなら

言おうとしている人が
何人いるだろう

怖ろしくなってきて
ペットボトルの紅茶を

一気に飲み干した

賑やかな、池袋の街を
目を伏せるようにして

人波に
もみくちゃにされながら

泣きながら

歩いている僕が
見えた気がした。

冬が来る

ドラマの主題歌に
なっていたような

クリスマスソングを

仰向けに寝たまま
しばらく口ずさんで

溜め息をついた

たくさんの人が
想い出を作るような日は

ひとり、部屋に篭ったり

いたたまれなくなって
あてもなく雑踏を歩いたり

心に 「ひとり」 が染み付いて

もう
誰かと一緒にいる僕を

上手に想像できない

冬は好きだけれど
イベントが多すぎるな。

ぼやけた夜景

音信不通になっていた
大切な友達が

何人か、僕の元に
戻ってきてくれた

日々、孤立感が
深まっていく毎日の中で

僕をよく知る人たちと
メールをやりとりしていると

それだけで
説明のできない涙が

一杯に溢れてきた

一人だけれど
孤独ではない、ということと

誰かと一緒だけれど
孤独を感じている、ということは

結局は、同じことなんだと
思った

だから泣いてしまう

涙は、壁紙にしてある
東京の夜景のせいに

してしまおう。

透明な部屋

暮れかかった
オレンジ色の部屋で

水を飲んでは
しばらく目を閉じる

外からは
小さな子供の遊ぶ声

時折、車の音

少し詰まったような
僕の吐く息が

ゆっくりと

ゆっくりと部屋に
充満してゆく

僕が言えることは

今日も何もしなかった
できなかった

ただ、それだけ。

惰眠スパイラル

何もかも遅すぎた

状況を把握することも
目的地を明確にすることも

愛し愛されることも
現実を思い知ることも

僕は全てが遅すぎたんだ

裏切らないのは
白いコンクリートの質感と

汗にくたびれたシーツだけ

漫然と過ぎる時間を
秒針の音が撫でてゆく

眠ろう、何度でも
今を忘れて。

緩やかな消滅

クスリとサプリを

ミネラルウォーターで
まとめて流し込むと

いつものように
見飽きた天井を見ながら

眠りに落ちるのを待つ

頭に浮かぶのは
周りのひとのことばかり

僕は何人に慕われ
何人に内心で疎まれ

何人にとって
どうでもいい存在なのだろう

自嘲気味に
「どうでもいい」 と呟くほど

切実に拘っている

寂しいな
やっと一人になれたのに

一人になんて
なりたく無かったのに

窓から差す
光のグラデーションに

ゆらゆらと佇む
コンクリートの壁が

今日も僕の意識を
静かに、優しく奪う

早く書かなければ
眠ってしまう前に

ただ一言
「寂しい」 と。

色付く部屋

DVDを延々と観る

大好きな映画
今日はもう三回目

昼ごはんから
日暮れまでは早い

もう
寝てしまおうか、と思う

思う端から
朝の悪夢を思い出し

複雑な気分になる

カロリーを摂取し
そのいくらかを消費して

何の生産性もない一日が
あっさりと暮れる

まったく
何をしているんだろう

僕は。

ダイヤモンド

雨の日は
部屋を暗くして

ベッドに
仰向けに転がり

ただ秒針の音を
聴いているのがいい

今、僕と世界の間に
介入するモノは

何も無い

こうやっていつも
時が過ぎなければ

いいのに、と思う

日常も、生活も
何もいらない

限りなく透明な

ダイヤモンドのような
「静」 が欲しい。

喪失回避

僕は何時から
こんなに

弱く成り果てて
しまったのだろうかと

ぼんやり考えた

何をしていても
相手に迷惑をかけていないか

何を口にしても
相手から嫌われないか

どんな行動に出ても
相手が離れてしまわないか

そんなことばかり
気にして過ごしている

これもウツのなせるワザ
と言ってしまえば

それまでなのだけれど

失うことの 「痛さ」 が
この心に焼き付いている

別れることの 「辛さ」 が
今も僕を縛り付けている

だから嫌われることが
誰かを失うことが

たまらなく怖い

こんな気持ちでいるのが
僕だけでなければ

いいのだけれど。