Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


[ すべて表示する ]   [ 作品集サイトへ ]   [ フィード購読 (RSS) ]     
login

記事一覧

因縁の都

悪い予感は的中する

予感というより
それは

スムーズな会話の中の
小さな 「ひっかかり」 程度で

言いたいことは
大方見えていたけれど

お互い、言い訳をしたり
変に追求したりはしなかった

東京

あの街が全部
持っていってしまう

技術者としての夢も
気心の知れた友達も

憎いようで恋しい
今すぐにでも東京に帰りたい

そして
何年遅れのキャリアを

「もう一度」 なんて
できもしないくせに。

one more bottle of white wine

楽しい酒には
すぐに酔う

一人注ぐ酒は
店員が呆れるほど飲んで

やっと酔う

そして泣く
知らない人たちに見られ

風の吹くベンチで
声を押し殺して泣く

こういうときは

絶対に涙を見せないのが
男らしいと言われるけれど

僕は泣き虫だから

耐え切れない日々の辛さを
誰かに聞いて欲しいと泣く

ここのところ
泣いてばかりいる

酒はいい友達だが
泣き虫がばれてしまうな

ボトルを、追加しよう。

否定と存続

こうやってまた

自分の本性を否定することで
自分を保とうとしている

汚いな。

フェミニスト発

最近の言葉では
「草食系」 と言うらしい

情欲にまみれていた
十代、二十代を通り越した今

僕が欲しいのは

恋愛ゲームのスリルでも
快楽に溺れる高揚感でもなく

むしろ

「愛、本来のかたち」
としか表現できない

静かで狂わしい情熱であって

それ以外のものは
もう、どうでもいい

ヒトのようなモノ

どんなに優しい美人でも
愛の原型が抜け落ちていたら

星との共生はできない
そう思わないか

愛だ恋だと踊らされ
見かけばかりをてらっている

三流女優たち。

見逃される傲慢

成功できない人間は
努力が足りない

そう思うことが傲慢なら

苦しんでいる人間は
本人にその原因がある

そう思うのも傲慢だろう

傲慢な人間が
幸せを享受することを許す

それこそが
この社会の癌であると

何とはなしに、感じた

同じ穴の狢

僕も排除されるべき人間
そうかもしれない。

不器用な愛し方

去っていく友人を
見送るたび

安心感を感じていた

欠陥だらけの性格と
コントロールのきかない病気で

もう、大切な人を
傷付けずに済むと思った

けれど

寂しがり屋な自分の
「本能」 のようなものが

音信が途絶するごとに

耐え難く、鋭い痛みを
心に打ち込んだ

僕は今日も
光らない携帯電話を

大事そうに手元に置いて

いつもと何も変わらず
紅茶に口を付ける

光ればいいのに

本当は失したい人なんて
一人もいないのに。

どうでもいいもの

花粉症にやられて
真っ赤に充血した目は

まるで
泣きはらした後のよう

部屋のあちこちに
散乱しているものが

オレンジの薄明かりの中

ひとつ、またひとつと
「どうでもいいもの」 に変わる

記憶は

忘れてはいけないものばかり
忘れるようにできている

あれもこれも
宝物、だったのに。

幸せと激痛

人は必ず
幸せの上を通る

それが
たとえ一瞬だったとしても

長い年月だったとしても

そしていつか
その幸せな時間を振り返る

回想する時間は
楽しいものだろうか

それとも
辛いものだろうか

僕にとって
過去を思い出すことは

それが
人生を否定することだとしても

激痛でしかない

「幸せな今」 に基づかない
過去のストーリーは

どれだけ幸せに溢れていても
相対的には悲劇でしかない

こんな発想が
空虚感を加速していると

知っていても
止まらない、たぶん

幸せの真上にいる時だけ
調子のいい奴、か

軽い人間、だな。

降り積もる記憶

暴風雨らしき
音が聞こえる中

頭の後ろで手を組み
天井を見ていた

ふいに

ある雨の午後
同じようにして

誰かと天井を見ながら話す
過去の自分が蘇り

僕は混乱して
反射的に身体を丸めた

幸せは
どんどん逃げていくのに

それを記憶する身体は
交換がきかない

それは
幸せなことでもあるし

残酷なことでもある

知らなければよかった
あんなに温かい感情。

ハートマーク

まだ暮れない日

布団に潜り込んで
見飽きた景色に溶かされる

色ならば、白

今日も音が消えてゆく
あくびの数を追うように

何処かへ、行きたい

誰かがまだ僕を見ているか
もう見捨ててしまったのか

そんな些細なことを
気にしなくていい場所へ

メールに並ぶハートマークは
社交辞令

醒めた目で読み飛ばす

必要なら今すぐその手で
この心に触れに来て。