誰と話すでもなく
無機質に液晶を眺めていると
不意に襲う頭痛
手遅れだ、クスリが無い
そんなことを曖昧に考えるうちに
痛みなどどうでも良くなり
デジタル時計の
湿度表示と睨み合う
40%を切った
乾燥した頭で考えるのは
やっぱり乾燥した現実
何処へ向かっているのか
分からなくなってきた。
Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私
誰と話すでもなく
無機質に液晶を眺めていると
不意に襲う頭痛
手遅れだ、クスリが無い
そんなことを曖昧に考えるうちに
痛みなどどうでも良くなり
デジタル時計の
湿度表示と睨み合う
40%を切った
乾燥した頭で考えるのは
やっぱり乾燥した現実
何処へ向かっているのか
分からなくなってきた。
真っ暗な部屋で
ペットボトルを転がして
ベッドにもたれたまま
見えない秒針を
耳だけで探した
誰かの相談を
手当たり次第に受けては
ひとつ解決するたび
自分も軽くなれた、なんて
狂気じみた思い上がり
温い水が
泣き喚く胃に流れて
夜が明けそうだから
息が詰まって
現実とコンクリートの間で
押し潰された僕は
何処へ行けば
赦されるのだろう。
弟の挙式は
爆笑と拍手の中
無事に終わった
式の前に控え室で
弟からデジカメを渡され
「もう持ってるよ」 と言ったら
「じゃあ、2台両方で撮って」 と
過酷な任務を命じられる
そして
式の間から食事中まで
必死で走り回り
フラッシュを焚きまくった
折角のステージなんだから
式ぐらいゆっくり見ていたかったけれど
これでいいんだと思う
二人の思い出作りの手伝いが
出来たんだから
さて、また退屈な日常に
戻るとするか。
昨夜は緊張と興奮で
眠れなかった
仮眠、3時間
酒が付いても何とか行ける
移動は電車ではなく
父の運転で
クルマだから何とかなる
色々な人の結婚式に
招待されたけれど
身内の結婚式が
こんなにも緊張するなんて
知らなかった。
明日は弟の結婚式
今までに行った
誰の式よりも緊張する
挙げ句
ペットボトルを腕にひっかけて
机にぶちまけ
メーカーサイトの
ログイン画面で
パスワードの欄に
何度もメールアドレスを打って
パスワードを失効させ
もう何をしているのか
しどろもどろ
それでも
デジカメの画質とボリュームは
設定を済ませたし
祝儀袋に
名前も書いた
今までで一番
立派な弟と
弟の家族になる人の
一番美しい姿を
心に刻んでこよう。
もう少しだけ
あと少しだけ、このまま
静かな音楽に
半分だけ
意識を奪われながら
ひとりで居る部屋に
ゆっくりと朝の明かりが広がって
ひとりで居る部屋に
ゆっくりと違和感が流れ出す
がむしゃらに求め続けた幸せは
目を閉じれば
いつでもそこに
鮮やかに広がっている。
ずきずきと疼くアタマに
突き刺さる電話のベル
行き場を失った心が
部屋の隅に溜まっている
不穏と空調の闘い
低い音で流れているのは
偽物の風だから
コンクリートの壁と
ベッドの隙間に潜り込む
壁には
耳しかないから。
深夜、目を覚ました
話す相手も無く
部屋でひとり
綺麗に光る
液晶の明かりを眺めていた
もうすぐ朝が来る
朝なんか
来なければいいのに
光が霞んでしまう。
この
66億9千万人の住む星で
誰が僕のことを
理解しているんだろう
本音を言えば角が立つ
喧嘩、喧嘩で、とかく忙しく
気もそぞろ
何が欲しいのかも
何がしたいのかも分からず
心中お察し申し上げます
尚も生き続ける理由は
何処にあるのだろう
暗い部屋にひとり
大切なモノを数え上げる
影ばかり
ゆっくりと重い腰を上げる
後に残るのは熟さない実だけ。
あと数日したら
弟が結婚する
子供の頃
僕の傍を離れなかった弟が
社会人になり
旦那になり、いずれ親になり
そのうち、おじいちゃんに
なってしまうかも知れない
彼が僕のできなかったことを
ひとつ叶えて追い抜いていく度に
本当に嬉しい
僕が思うように生きられず
地べたを這いずり回っていても
僕の夢を
彼が現実にしてくれる
幼い頃
「弟が欲しい」 と母に頼んだ
それは間違いではなかったと
涙が溢れて止まらない
何でも出来て
何でも知っている 「お兄ちゃん」 は
そろそろ卒業だな。