Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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記事一覧

必要

例えば僕が
何もかもを失ったとして

例えば僕が
何ひとつ持たない

何の価値もない存在に
なったとして

それでも僕のことを
必要だと断言してくれる人は

どれくらいいるんだろう。

重荷

大丈夫、大丈夫と
返事をする端から

自分では意識していない
心労と体の疲れが

徐々にピークに向かっている

こんな時に限って
疲れの解消の仕方が分からず

クラシックを聴いても

暖かい部屋で
甘いものを飲んでも

いまひとつ落ち着かない

母が逝くことに
納得しきれていない自分が

まだ心の中にいる

今夜も寝る前に
聖書をパラパラとめくる

励みになる言葉は
たくさん知っているはずなのに

肝心の箇所が
どれ一つとして出てこない

休ませてあげよう、か
やれやれ。

偽りの英雄

人間一人救えない
自分の無力さを思い知って

がっくりきている所へ

殺人事件だの、戦争だのと
焦臭いニュースが

飛び込んで来る

一人殺せば殺人者
百人殺せば英雄、なんて

とんでもない話だ

そう言う自分は
今までどれほどの人を

傷つけてきただろう

この手に染み込んだ血の
生々しさを思う時

心が痛んで止まない。

愛された記憶

リスト
愛の夢 第3番, 変イ長調

聴き慣れた旋律が
閑散とした頭の中に響く

大切な人を
失おうとしている時

どうして頭には
愛された思い出ばかりが

次々と駆け巡るのだろう

「ひとり」 になるのは
昔から苦手だった

寂しがり屋だった
今も。

hope

母はもともと
そんなによく食べる人ではない

それなのに

10秒と立っていられないのに
6品もある院内食を

ほとんど残さずに食べている

どれほど
頑張っているかと思うと

もう頑張らなくてもいいよ、と
言ってあげたくなる

でも、それは
希望を捨てることを意味するから

僕の口からは言えない

母が諦めていないのだから
自分も諦めてはいけない

精一杯、世話をして
勇気の出る言葉を

かけてあげたい。

人を越える存在

母の闘病を
目の当たりにして

してあげられることが
ごく僅かしかない

自分の無力さを痛感する

どうしようもない
無力さを感じたとき

人は人間を超える存在
たとえば

神様だとか、大自然だとか
宇宙の法則などに

思いを巡らせる
ものなのだろう

今朝もパラパラと
少し聖書をめくったら

聞き飽きるほど
何度も聞いてきた聖句が

やけに身に染みる

あすのことを
思いわずらうな。

一人の祈り

今朝の出発前

一人になった自室で
祈った

母が家族と過ごす時間を
少しでも幸せに思えるように

駄目になるのなら
痛みや苦しみが少ないように

出産間近の義理の妹が
カラダを壊さないように

父や弟の気持ちが
少しでも楽になるように

一番頑張っている父が
倒れたりしないように

そして
僕のカラダとウツが

せめて今この時だけでも
安定してくれるように

せめて母とみんなのことだけはと
祈った

祈る端から
どんどん涙が溢れて

それを拭きながら

都合のいい祈りだけれど
届いて欲しいと

願った。

母の顔を覗き込みながら
色々と話しかけると

目を一度開けて
僕のほうを見て

すぐにまた目を閉じて

声にならない
か細い声を出した

その後
閉じたままの母の目から

涙が溢れ
僕はそれをハンカチで拭った

母は何を思うのだろう

親子水入らずの時間は
今まで飽きる程あったのに

二人で
こんな時間を過ごすなんて

言葉にできない悔しさや
もどかしさが

頭の中に立ち込める

母が死ぬか生きるかより
日ごと弱っていく母の

一挙一動を見ているのが
本当に辛い。

溢れる気持ち

母に少しずつ
お茶を飲ませながら

身重の義理の妹の
大きなおなかを見て思う

三十年ほど前には
母もこんな風にして

おなかの中にいる僕に
話し掛けたり

手をあててくれたりしたんだ

そう思うと
「ありがとう」 という気持ちと

「ご苦労様」 や
たくさんの 「ごめんね」 が

心に溢れて止まらない

息子たちはもう大人だから
自分の心配だけすればいいよ。

緊張感

今日も母は
安定していて

意識もまあまあ
はっきりしている

半日だけ会社に出た父も
合流した

何事もなく
ただよく寝るだけだが

数値では末期癌で

何日か世話しているが
今だに信じられない

母がよく喋ってくれると

嬉しくて
張り詰めている緊張が

解けそうになる

いつ何があるか
分からないんだから

悔いの無いように
体調をキープしたい

腰と肩がバシバシ。