Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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記事一覧

空転

優しいひとばかりが

傷付き
疲れ果てているのは

どうしてだろう

温かい気持ちばかりが

空回りし
きちんと伝わらないのは

どうしてだろう

この世界には
理不尽を絵に描いたような

寂しい出来事が
本当に多すぎる

みんな
一生懸命なのに。

生への執着

眠れずに起き出す

魂を持って行かれるような
苦痛に耐えかねて

カップ麺を一気に
喉へと流し込む

誰からも
必要だと言われない

生きることに対する
執着が全くない

そんな僕が
イノチを繋ぐ理由は

一体
どこにあるのだろう

どこを探せば
見つかるのだろう。

表現力の欠落

携帯もメッセンジャーも
完全に静寂を守っている

空調の音だけが
頭の上で、低く聞こえている

僕は思う

寂しい、苦しい、苦い
退屈、憂鬱、無気力

そのどれもが当たっていて
どれも微妙にズレている

確かに感じている感覚なのに
表現力の、欠落

ぬるくなった
ミネラルウォーターを飲む

ああ、この感じだ
僕もこんな味なんだな。

密室に吹く風

吹き下ろしてくる
エアコンの風が肌に触れ

密閉された
このコンクリートの空間に

乾いた風が吹いている
という、おかしな状況に

胸の奥がモヤモヤする

今日は、雨の中
外出したりもして

何かと疲れた

そろそろ布団の中で
読み物でもしようかと、思う

土曜も日曜もあるけれど

僕はベッドに
いろいろなものを持ち込んで

もぞもぞと何かを読む

そして
それに飽きてしまったら

すっかり見飽きた天井を
いつものように、じっと眺める

たぶん、そんな休日。

つじつま合わせ

眠剤を飲んだものの

寝付けなくて
仕方なく起きだし

インスタントのカップうどんと
パンを食べる

真夜中だけれど
そうも言っていられない

明日は雨の予報だから

本当は、パンだけ
明日のために残したかった

ネットにつながったものの
メッセンジャー関係は全滅

話し掛けても返事は無い

みんなが眠っているような
こんな丑三つ時に

パキパキに覚醒している
自分を持て余す

こんな惨めな気持ち
あと何回、繰り返すんだろう。

道化のジレンマ

たくさんの友情を
とても優しい人たちの信用を

この血まみれの手で
台無しにしてきた痛手は

予想よりはるかに大きい

この性格ゆえの
持病ゆえの揉め事に

何度も人を巻き込むたび

自分は
遠ざかっていなければ

いけないと感じた

そうして道化になり
さんざん茶番を演じた末に

失ったひとたちは
果たして幸運だったろうか

僕はもしかしたら
とんでもない傷を

彼らに刻んだのでは
ないだろうか

そんなことを思うと
前にも後ろにも進めない

自分が情けない。

慣れない感覚

アレルギー性鼻炎か
冬の寒さのせいか

目を覚ましてからずっと
鼻水が止まらない

仕方なく鼻をかむけれど
だんだんそれも

面倒になってくる

時々、鼻水が詰まると
プールで

溺れかけたような感覚

大人になって
ジムのプールでなら

何キロでも

泳ぎ続けられるように
なったけれど

この
鼻に水が詰まる感覚だけは

いくつになっても
慣れない

自分の鼻水で
溺れる人なんて

いないだろうけど。

無機物の最期

ベッドの脇に置いた
電気スタンドの蛍光灯が

今日は数回、明滅していて

それがいよいよ
頻繁になってきたので

じっと見つめていたら

蛍が光を失うように
パッと消えてしまった

僕は就寝前に
ベッドで色々なことをする

携帯やウォークマンや
電子辞書はいつも手元にあるし

充電ケーブルも引いてある

身体の調子が悪い時は
ノートPCも持ち込む

ただ、スタンドライトが
消えてしまったら

本を読むのに、困る

そんなことを思いつつ
蛍光灯が切れた瞬間を

思い出してみると

単なる 「消耗品の寿命」
なのだけれど

ひとつの 「生命」 が
終わる瞬間に立ち会ったような

寂しく複雑な気持ちになる

新しい電球を買えば
またスタンドは光るだろう

でも、何年もの間

就寝前の大事な時間を
分け合ってきた電球は

二度と、僕の影を
壁には写さない

無機物が壊れて
こんなに悲しいのは

初めてだな。

主張する傷口

末梢神経障害をおこし

触られている感覚も
熱い、冷たいという感覚も

何もない肩が

どういうわけなのか
ものすごく痒い

そして掻いてしまった結果
今はじゅくじゅくとして

出血までしている

人間の体というのは
つくづく不思議だと、思う

身体的な外傷には
子供の頃から強かった

「強かった」 というより
自分自身、無関心だった

というほうが
正しいのかも知れない

ちょっとした怪我は
止血しておけば治る

そんな感覚で生きてきた

けれど今回ばかりは
主治医に

診てもらうことに
なりそうな気配

先生
今度は皮膚科医ですよ

いや、外科医かな。

チャイ選び

ゆったりとした速さで

僕の両肩や、指先を
一日が追い越していく

何も変わらないような
夜が始まって

明日もきっと

何も変わらないような
朝がやって来る

ここ数日で
何度か 「チャイ」 を飲んだ

懐かしい味がした

お湯を注ぐだけで
簡単に作れるチャイに

猛烈に
ハマっていた僕が

スーパーの一角で
悩みながら選んでいる姿が

ふと、目に浮かんだ。