僕は
「バイバイ」 という言葉が
どうしても言えない
恋人との別れ際は
もちろんのこと
友達との
電話を切る時でさえ
「バイバイ」 ではなく
「またね」 と言ってしまう
去る者は追わず、などと
傲慢な毒を吐きながら
実のところ、内心では
「人が去っていく」 ことが
もの凄く、怖い
それは
相手の中の 「僕」 が
消え去っていく体験であり
相手を通して
現実に投影された僕自身が
「薄まっていく」 怖さでもある
もしも
全てのひとが去ったなら
僕は、存在しているだけで
「どこにもいなく」 なる
そんな風に
人を失うことが怖くて
「バイバイ」 が言えない
この気持ちに
シンクロするひとは
たぶん、僕の知ってる中で
ほんの一握りだろう
「次」 があると
曖昧に予感を残して
安心した所で
何を繋ぎ止められるわけでも
ないけれど。