迷い込むのはいつも
過去の時間の中
父がいて、母がいて
弟がいて、友がいて
何ひとつ悩むことなく
平和の中に寝起きする
在りし日の僕がいる
長い年月のうちに
欲しかった自分だけの
家庭を築き
物質的にも当時よりは
遙かに
多くのものを手に入れ
それでもまだ
幸せの何たるかを
分かっていない自分を
目の当たりにする
現実に引き戻されたら
何もかもが消えそうで
この手に抱えている
何もかもが塵のようで
それでもなお
どこへ向かって
この人生を往くのだろう
ふと、笑えたなら
それが今日の始まり
それが
これからも続いていく
明日の始まり。