自分の中の
弱くて、どうしようもないモノが
虎視眈々と僕を狙い
ほんの少し勢いづくと
「現実はこれなんだぞ」 と
言わんばかりに
目の前に茫漠と立ち塞がる
すっかり気分を
やられてしまって
逃げ惑う余裕すら
無くした僕の喉を
少し濁りかけた水と
安定剤が流れ落ちていく
天国は、地獄の始まり
地獄は天国の入り口
だから僕は
「今」 以外を見ないで
生きようと決めて
この十年以上もの間
冷淡な表情を操ってきた
いちばん弱くて脆いものが
自分の中にある、と
理解している人たちは
みんな温かくて、優しい
けれど
その優しさに甘えたとき
僕の中の怪物は
一瞬で僕を飲み尽くすだろう
まるで戦場、最前線だ
迷えば撃たれる
躊躇すれば流れ弾に当たる
進めば、命の保証はない
いつから僕は
この平和で美しい世界を
こんなに歪んだ形でしか
歩けなくなったんだろう
涙が、溢れた。