Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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コントローラー

数年前

僕の部屋には
据え置きのゲーム機と

コントローラーと
座布団がふたつ

置いてあった

当時、付き合っていた人が
遊びに来てくれた週末は

狭い自室のカーペットに
二人並んで座り

色違いの
コントローラーを持って

よくゲームをした

その人が
いくつかの可能性に賭けて

「僕とは違う誰か」 を
選ぶと決めた日から

ゲーム機と
二つのコントローラーは

クローゼットの
段ボール箱に消えた

いま

僕の部屋には
次世代機の本体として

また、ゲーム機が
置いてある

深夜の部屋で
一人きりでゲームをしていて

ときどき

不意に離人感に似た
固い違和感を感じ

涙が出てしまう理由が

やっと
分かったような気がした。

コメント一覧

ゆちご  2012年04月10日(火)21時13分 編集・削除

思い出の品物なんだね。
悲しい思い出は、捨ててしまうのはどうかしら。

nozomi  web 2012年04月10日(火)21時52分 編集・削除

>ゆちご

付き合った人の数だけ、思い出とか記念はあるよ。

でも、悲しいから涙が出るわけじゃなくて
懐かしさとか孤独感とか、過去と現在の対比とか、

いろんな感情が混ざり合った涙なんだよね。

思い出が残っているということは、
真剣に誰かを愛した時間があったということ。

それは、自分にとってすごく大切に
誇りに思うべきことだと思うんだよね。

本当に愛した人のことを、忘れてしまうというのは
真剣に人を好きになって心から笑った

自分自身の歴史を否定すること。

だから、本当に実用性がゼロであったとしても
保管しているものがたくさんあるよ。