夜明け前
低い空調の音と
秒針の刻む音だけが
深く、カラダの奥へ
ゆっくりと
浸透していくように感じて
僕は
枕に額を押し付けた
1円も払わずに
手に入れた人間関係を
「ごめん」 の一言も無く
捨てて、捨てられて
それでも生きる毎日
ふと
「確かなものが欲しい」 と
強く、思った
それは
肌の温もりであったり
鮮明な言葉であったり
色々なのだろうけれど
僕のいるセカイには
何ひとつ無いもの
あるいは
手放してしまったもの
苦し紛れの自作自演も
笑って済ませられる程度に
しておけばいいのに、と
自分の不器用さに
呆れ返ってしまい
苦笑いする
すぐに手に入るものは
すぐに失うもの
それが分かっていながら
駆け引きばかりする僕は
一体、何から
逃げ回っているのだろう
「自分自身から」
認めたくない気持ちが
脳裏を掠めて消えた
眠らないと
せめて今日を
ちゃんと終わらせないと。