寒空の中
久々に買い物に出た
マンションの敷地を
清掃している人と声を交わす
僕から、こんにちは
見知らぬ女性から、こんにちは
それだけのやり取りが
父以外の人間と交わす
久しぶりの会話だった
コンビニで菓子類を調達し
黙ってお釣りを募金箱に入れ
帰り道は、無言
明日は診察日
主治医と単調なやり取りが
あっさりと終わるだろう
そんなことを思うと
明日も誰かに挨拶をしたいと
願わずにはいられない
人と会話することが
こんなに幸せなことだなんて
思ってもいなかった
こうして僕は少しずつ
壊れていくんだろうな
失したくないもの
失してはいけないもの
その所在が
少しだけ分かった気がした。