静かに
液晶を睨む左耳に
甥っ子の泣き声と
何かを主張する声が
響いてくる
彼の涙は
たとえば僕のような
生活に疲れ
失意に呑まれた
オトナの涙ではない
何かが叶おうと
叶うまいと
ただ、自分の願いを
がむしゃらに掴み取るため
「生きるため」 に
流している涙なのだ
彼と同じ歳から
数えて三十年
人間として
いかに生きることを
無駄にしてきただろうと
苦笑しては
みたものの
前に進むための
大切な何かを
僕はどこかで
見失ったらしい
とりあえず、今は
彼が何かを勝ち取って
あるいは何かに納得して
早く眠れるといいな、と
思った
小さなカラダに
この夏は応えるだろう
子供から学ぶものは
本当に多いな。