泥のように眠り
目を覚ました夏の夜は
地球上にたったひとり
呼吸しているような気がして
平和な孤独を持て余す
居場所があるような
無いような暮らしのなかで
自分の生きてきた道は
間違ってはいなかったかと
ただ、それだけを
繰り返し心に問うとき
目の前に開ける景色は
美しく、とても美しく
けれど
すべてがモノクロームで
無機質にこの世界の
本質をさらけ出しながら
鈍く光を放っている
大切なのは
生きていることではなく
生きること
この一瞬を賭して
つまならい未来の幾年分を
色彩豊かな今に変えて
輝かせてみせること
少なくともそれは
目の前の死んだセカイより
ずっと人間的で
刹那的で、情緒的で
僕らしいものに違いない
訳もわからず
涙が溢れる寝起きに
思うのは
たとえば、そんなこと。