Wish You A Happy Life
降り積もる 雪に未来を 踏む私


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コーヒーショップ

宅配の荷物を
待っている隙に

食事を済ませようと
外に出た

ヘルメットを
無造作にかぶると

エンジンをかけ

その姿勢のままで
しばらく、固まっていた

行き先が
分からないのだ

先日のカレーは
美味しかっただとか

あまり食欲がないから
カレーは重いかとか

さんざん悩んで

結局、僕は
回転寿司の裏に

バイクを乗り付けて

またしても
果たしてここでいいかと

固まっていた

そんな調子で
店に入ったものだから

注文なんて
できたものではない

自販機で買った
アイスコーヒーに

縋るように口を付けて

舐めるような目で
レーンを流れる皿を

見送るばかり

「厭な客だな」 と
自分でも思い始めたし

お客さんも増えたので
早々に会計を済ませて

退散することにした

毎日、何かしら
食べながら生きているのに

いざ食べようとすると
何を食べていいかすら

分からなくなる

こんな日記を書きつつ
明日は何を食べるか

その怖ろしい不安で
心が裂けそうになる

ちょっと言い過ぎか

選べる立場の今は
それだけで幸せなこと

今は、それでいい。

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