クリスマスが近付く町で
ひとり、ぼんやり
赤い大きな靴を眺めては
ため息をつき
こみあげる何かを、拭う
曖昧な、時間の深淵に
何が潜むかなんて
考えもしなかった頃は
きっと 僕にも
サンタクロースが
見えたのかも知れない
そして
汚れながら堕ちていく
限りあるイノチの中で
たった一つだけ望んだ物が
叶えられず、流れて消える
今年も
汚れながら生きている
こんな僕だけれど、いつか
家族が欲しい、と
願うように呟いて
赤い靴に誤魔化し笑い
今日もまた
何ひとつ、変わることのない
ただの平日になった。