缶コーヒー
雨の降る 静かな道で
立ち止まる 自動販売機
お茶を買って 次にコーヒーと
伸ばした指を 躊躇い止めた
恋は 優しいけれど
恋は とても優しいけれど
消せない 哀しい癖を
貴方の癖を 残して消えた
髪も服も 仕草も言葉も
貴方が好きと 言ったものばかり
ねえ 教えて これから何年
この恋と 生き続けたら
貴方を 過去にできるの?
雨の降る 静かな道で
立ち止まった 自動販売機
お茶を買って コーヒーを買って
ゆっくり頷き また歩きだす
誰も居ない 一人の部屋に
コーヒーを静かに置いたら また
「私」 に戻り 歩きだす