蒼い声


二人電車に 並んで座り

貴方が 差し出した
ボイスレコーダー

おどおど喋る 私の声を
再生しては 笑ったね

今ではひとり 雨音を
遠くに聴くだけの 私の部屋に

電車の ノイズと
二人の 楽しげな

笑い声が 蒼く響く

どうして人は 笑ったり
泣いたり怒ったり できるのに

それを 誰かと
分け合う ことだけが

こんなにも 難しいのかな

今日も電車は 東京を回る
私と貴方の 幻を乗せて

とびきりの 笑顔と
とびきりの 恋心を

上手に 分け合えていた
あの日を 乗せて

二人の 笑顔と
幸せな 声を乗せて