背中


恋をして 愛を知り
大人になるまで 私は
いつも その優しくて
広い 背中を見てた

目の前で 遠ざかる
添い慣れた 貴方の背中と
左側だけ 引き摺る
聞き慣れた 愛しい靴音

もう 会えないなんて
好きだと 私を好きだと

何度 泣きながら頼んでも
言っては くれないなんて

恋に落ち 愛されて
その優しい 腕の中で
貴方の鼓動に 聴き入り
幾つもの 夢を見た

目の前で 遠ざかる
大好きな 貴方の背中が

涙を 拭う間にも
人波に さらわれてゆく